岐阜新聞 映画部

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お金に特化した最新忠臣蔵映画

2020年01月25日

決算!忠臣蔵

© 2019「決算!忠臣蔵」製作委員会

【出演】堤真一、岡村隆史、濱田岳、横山裕、妻夫木聡、荒川良々、竹内結子、西川きよし、石原さとみ、阿部サダヲ
【脚本・監督】中村義洋

浪費と節約 討ち入りの沙汰も金次第

 忠臣蔵といえば、かつては正月映画のドル箱番組だった時代がある。しかし、現在では、忠臣蔵とは?と注釈を映画の宣伝広告に載せなければならなくなっているほどか?と首を傾げたが、その知名度は史実の中では抜群であることに変わりはないようにも思える。

 忠臣蔵のクライマックスである討ち入りが決行されたのは元禄15(1702)年のこと。その翌年の正月には、江戸山村座で討ち入りの趣向を取り入れたといわれる人形浄瑠璃が上演されている。その後も、浄瑠璃や歌舞伎の人気題材として取り上げられるようになった。その集大成が、討ち入りから45年後の寛延元(1748)年に上演された「仮名手本忠臣蔵」で、現在も赤穂事件=忠臣蔵を題材にした人形浄瑠璃や歌舞伎の代表作として上演されている。

 『決算!忠臣蔵』は題名でも分かるように、お金に特化した最新忠臣蔵映画である。

 赤穂藩主浅野内匠頭が、江戸城松の廊下で、幕府の重臣吉良上野介に斬りかかった事件の発端から、仇討が決行されるまでの約1年9ヶ月を赤穂藩の侍たちはいかに過ごし備えたか?というお話は、定番をなぞりつつも、オチはお金に終始する。

 進行に違和感が発生するのは、有名な史実と固定されたイメージがある宿命でもある。赤穂は現在の兵庫県であり関西圏に位置する。そこに住まう侍たちの話言葉が関西弁であることは当然なのか?過去の作品に関西弁を使った大石内蔵助はいただろうか?この違和感からの脱出にもそんなに時間はかからない。

 無駄遣いと節約が入り乱れる中、経費の決算報告が、漫画の吹き出しのように表示されるのは、数字を具体化する親切な表現と認めたい。

 大石役の堤真一が、かなりのオーバーアクトであるにも関わらず嫌みとならないのは、役者の懐中の深さ。一方で、お笑い系の演技者をショートコントの扱いで切り取ったのは演出の妙。その中では、大石の竹馬の友で勘定方の矢頭長助役の岡村隆史が地味に光る好演をしている。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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