岐阜新聞 映画部

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喜劇映画の名手周防正行監督待望の新作

2019年12月29日

カツベン!

© 2019「カツベン!」製作委員会

【出演】成田凌、黒島結菜、永瀬正敏、高良健吾、音尾琢真、徳井優、田口浩正、正名僕蔵、成河、森田甘路、酒井美紀、シャーロット・ケイト・フォックス、上白石萌音、城田優、草刈民代、山本耕史、池松壮亮、竹中直人、渡辺えり、井上真央、小日向文世、竹野内豊
【監督】周防正行

無声映画時代を舞台にした活劇再現の試み

 周防正行監督の5年ぶりの新作は、無声映画の時代を背景にした喜劇で、活動弁士を中心に映画小屋に関わる人たちを描いている。

 周防監督は偏執狂かも知れない。勿論、悪い意味で言っているわけではない。これはあくまでも推測だが、題材の選択と決定が模索の中で揺れ動き始めた段階から、こだわりの気概は芽吹いていて、興味の対象となったものとの格闘も始まる。大学の相撲部、駅前のダンス教室、裁判所、舞妓と花街…研究とリサーチは執拗で、それが彼を寡作にしている要因なのだろう。

 『カツベン!』は、言わば自分の庭のお話なのだが、聞くところによると監督は映画の創世期=活動写真時代の知識は、意外にも浅いものだったという。しかし、深みにはまったからこその過程が読み取れるから、どうも眉唾っぽい。

 子どもの頃からの夢を実現すべく、旅回りの巡業活動写真一座の弁士となった俊太郎(成田凌)だったが、それはあこがれの弁士・山岡秋聲の偽看板を掲げるいかがわしいもので、上映会でもぬけの殻となった集落の屋敷から、金目の物を掠奪する盗っ人集団だった。ある日、警察に踏み込まれ、逃げ出すはめになった俊太郎は、成り行きで大金を手にしてしまう。

 俊太郎が流れ着いたのは老舗の芝居小屋を改装した映画館・青木座だったが、ライバル館に人材も客も奪われて、閑古鳥が鳴くありさま。楽屋には酔いつぶれた主任弁士がいるが、それは落ちぶれた山岡秋聲(永瀬正敏)だった。

 恐妻の尻に敷かれた館主、癖の強い弁士や楽士や映写技師に挟まれ、それでも大好きな活動写真の近くで仕事ができることに幸せを感じる俊太郎に、弁士のピンチヒッターが巡ってくる。

 ライバル館の嫌がらせ、盗っ人集団を追う刑事、幼なじみの梅子との再会と、賑やかなキャラクターで繰り広げるられる話は、次第に組んず解れつの活劇となる。巧みな筋立てと細部へのこだわりで、観客を飽きさせる事はないが、上手く纏まり過ぎている、という皮肉な意見をつけ加えなければならないのは高望みか?

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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