岐阜新聞 映画部

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映画を観てから知る面白さを、強く実感させた映画

2019年12月27日

ガーンジー島の読書会の秘密

© 2018 STUDIOCANAL SAS

【出演】リリー・ジェームズ、ミキール・ハースマン、グレン・パウエル、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、キャサリン・パーキンソン、マシュー・グード、トム・コートネイ、ペネロープ・ウィルトン
【監督】マイク・ニューウェル

アガサ・クリスティの推理小説を読んでいるような爽快感

 映画は基本的に何の予備知識もなく観ればいいのだが、映画評論家の町山智浩さんはこう言う。「映画は、何も知らずに観ても面白い。でも、知ってから観ると100倍面白い。観てから知っても100倍面白い!」(Twitterより)。このように映画を起点にして調べて学ぶことは映画好きの特権なのだ。本作は観てから知る面白さを、強く実感させた映画である。

 『ガーンジー島の読書会の秘密」は、ロンドンに住む駆け出しの女性作家ジュリエット(リリー・ジェームズ)と、ガーンジー島にある「読書とポテトピールパイの会」のドーシー(ミキール・ハースマン)との出会いから、奇跡の再会を経て結婚するまでを描いた、ミステリーあり歴史ありの王道ラブストーリーである。

 ベテランのマイク・ニューウェル監督は、新聞に寄稿するために取材に訪れたジュリエットを名探偵ミス・マープルのようにして、秘密の理由を探させる。ベールが少しずつ剥がされていく過程は、アガサ・クリスティの推理小説を読んでいるような爽快感があり、さすがミステリー大国の映画である。

 作品はよくできており、高級ホテルで上質なアフタヌーンティーを飲んでいるような幸せな気分になれる。素敵なイギリス映画(フランスとの合作)である。

 余韻も覚めやらぬまま、まず調べたのはガーンジー島だ。Wikipediaによると、イギリス王室保護領で自治権が認められており、EUには加盟してない。これが基本情報。

 あとは映画で描かれている事の裏付けだ。イギリスで唯一ドイツ軍に占領されたチャネル諸島は、イギリスが戦略的理由で防衛しないと決める。一方、ドイツはイギリス本土占領のモデルとみなしていた。占領軍と現地民間人の比率は1対1だったため、民泊を余儀なくされた一部のドイツ軍兵士との間にはある種の友情のようなものが芽生え、食料や燃料を分かち合うようになったなど。

 映画が100倍面白くなった。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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