岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品ガーンジー島の読書会の秘密 B! 迷う主人公が日々の疲れを癒してくれる1本 2019年12月27日 ガーンジー島の読書会の秘密 © 2018 STUDIOCANAL SAS 【出演】リリー・ジェームズ、ミキール・ハースマン、グレン・パウエル、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、キャサリン・パーキンソン、マシュー・グード、トム・コートネイ、ペネロープ・ウィルトン 【監督】マイク・ニューウェル マネージャーには仕事上の関係や単なる友情以上の絆を感じさせる。 映画の中には“癒される映画”が存在する。疲れた時に観て、元気になれる、幸せな気持ちになれる映画である。本作『ガーンジー島の読書会の秘密』はまさしくそんな映画だ。 映画は冒頭、物々しい雰囲気でスタートする。ナチス軍の足音が響き、男女数人が追いつめられて危機一髪!その時、咄嗟の判断でなんとかピンチを切り抜ける。つかみはバッチリ、一気に引き込まれること間違いなし。そして場面は変わり、作家であるジュリエット(リリー・ジェームズ)がガーンジー島を取材に訪れるまでが描かれる。ガーンジー島を訪れたジュリエットは歓迎され、島の読書会にも参加する。しかし、読書会のメンバーは何かを隠しており、自身は所詮部外者であることを痛感させられたことで、なんとか秘密を知りたいとその謎を解こうとするのである。 この主人公ジュリエットは活動的で、思い立ったらすぐに行動するタイプながら、迷いを抱えながら過ごしている。自分の生活はこれでいいのだろうか、自分の判断は間違っていないのだろうかと。しかし、その“迷っている”ことに本人が気付いていない。彼女の行動の裏には他者との関わりの中で何かを見つけたい、自分の進むべき道を見つけたいという無意識があるように思う。そんな“自分を見つけたい”という思いと“謎を見つける”行動がシンクロし、彼女を行動的な人物にしているように思う。そして、そんな彼女の迷いを見抜いているかのように寄り添うのが彼女のマネージャー。彼の存在がジュリエットの行動力を支えている。そこには仕事上の関係や単なる友情以上の絆を感じさせる。 取材であったはずの読書会のメンバーとの交流を通じて絆が深まっていく。そして謎を解き、メンバーと真の仲間になれたことで初めて自分の迷いと向き合ってひとつの結論を出す。その結論を笑顔で受け入れるマネージャーが実に優しい。 ただ、肝心の“読書会の秘密”がかなり薄いなど残念な点も散見される映画ではある。また、大きく心揺さぶられることもない。しかし、日々の疲れを癒すには最適の映画だ。映画館で癒されるのもいいものである。 語り手:天野 雄喜 中学2年の冬、昔のB級映画を観たことがきっかけで日本映画の虜となり、現在では24時間映画のことを考えながら過ごしています。今も日本映画鑑賞が主ですが外国映画も多少は鑑賞しています。 100% 観たい! (8)検討する (0) 語り手:天野 雄喜 中学2年の冬、昔のB級映画を観たことがきっかけで日本映画の虜となり、現在では24時間映画のことを考えながら過ごしています。今も日本映画鑑賞が主ですが外国映画も多少は鑑賞しています。 2023年01月27日 / 非常宣言 サスペンス映画としても群像劇としても一級品 2023年01月26日 / かがみの孤城 不登校になった中学生に寄り添う傑作アニメ 2023年01月25日 / トゥモロー・モーニング 結婚と離婚の前夜を交錯させるミュージカル more 2020年07月01日 / 新世界国際劇場(大阪府) 様々な人間模様が繰り広げられる新世界の映画館 2021年06月09日 / 【思い出の映画館】かもめ座(神奈川県) 戦後の港町横浜で湾岸労働者たちに愛された二番館 2021年03月03日 / みやこシネマリーン(岩手県) 震災から10年…復興を続ける街で夢を贈り続ける more
マネージャーには仕事上の関係や単なる友情以上の絆を感じさせる。
映画の中には“癒される映画”が存在する。疲れた時に観て、元気になれる、幸せな気持ちになれる映画である。本作『ガーンジー島の読書会の秘密』はまさしくそんな映画だ。
映画は冒頭、物々しい雰囲気でスタートする。ナチス軍の足音が響き、男女数人が追いつめられて危機一髪!その時、咄嗟の判断でなんとかピンチを切り抜ける。つかみはバッチリ、一気に引き込まれること間違いなし。そして場面は変わり、作家であるジュリエット(リリー・ジェームズ)がガーンジー島を取材に訪れるまでが描かれる。ガーンジー島を訪れたジュリエットは歓迎され、島の読書会にも参加する。しかし、読書会のメンバーは何かを隠しており、自身は所詮部外者であることを痛感させられたことで、なんとか秘密を知りたいとその謎を解こうとするのである。
この主人公ジュリエットは活動的で、思い立ったらすぐに行動するタイプながら、迷いを抱えながら過ごしている。自分の生活はこれでいいのだろうか、自分の判断は間違っていないのだろうかと。しかし、その“迷っている”ことに本人が気付いていない。彼女の行動の裏には他者との関わりの中で何かを見つけたい、自分の進むべき道を見つけたいという無意識があるように思う。そんな“自分を見つけたい”という思いと“謎を見つける”行動がシンクロし、彼女を行動的な人物にしているように思う。そして、そんな彼女の迷いを見抜いているかのように寄り添うのが彼女のマネージャー。彼の存在がジュリエットの行動力を支えている。そこには仕事上の関係や単なる友情以上の絆を感じさせる。
取材であったはずの読書会のメンバーとの交流を通じて絆が深まっていく。そして謎を解き、メンバーと真の仲間になれたことで初めて自分の迷いと向き合ってひとつの結論を出す。その結論を笑顔で受け入れるマネージャーが実に優しい。
ただ、肝心の“読書会の秘密”がかなり薄いなど残念な点も散見される映画ではある。また、大きく心揺さぶられることもない。しかし、日々の疲れを癒すには最適の映画だ。映画館で癒されるのもいいものである。
語り手:天野 雄喜
中学2年の冬、昔のB級映画を観たことがきっかけで日本映画の虜となり、現在では24時間映画のことを考えながら過ごしています。今も日本映画鑑賞が主ですが外国映画も多少は鑑賞しています。
語り手:天野 雄喜
中学2年の冬、昔のB級映画を観たことがきっかけで日本映画の虜となり、現在では24時間映画のことを考えながら過ごしています。今も日本映画鑑賞が主ですが外国映画も多少は鑑賞しています。