岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

是枝監督によるフランス映画の真作

2019年12月05日

真実 “特別編集版”

©2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA

【出演】カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエ、クレモンティーヌ・グルニエ、マノン・クラヴェル
【監督・脚本・編集】是枝裕和

何気ない小道具さり気ない一言にエスプリが溢れる

 是枝裕和監督の『真実』にはいくつもの伏線がはある。お話のはじまりはいつかフランス映画で観たような風景が映し出される…帰郷する家族。リュミール(ジュリエット・ビノシュ)は、アメリカで俳優をしている夫のハンク(イーサン・ホーク)と娘のシャルロットを連れ、パリの生家に帰ってくる。高い木々に覆われた屋敷は幼いシャルロットにはお城に見える。そのお城の主は大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)で、庭には彼女が魔法を使って亀に変えたピエールおじさんがいる。娘家族の帰郷の目的は母が書いた自伝の出版祝いで、その自伝本の題名が真実。

 ファビエンヌのマイペースな独裁ぶりは相変わらずで、長年勤めた家政婦が辞めたことが語られ、続いて有能なマネージャーまでが退職を告げて出て行く。

 “真実”を読んだリュミールは、そこに書かれた嘘をとがめて母に詰め寄るが、女優が嘘をつくのは当たり前のことと一蹴され、あげく「お前の記憶違いよ」とやんわり指摘されてしまう。

 ファビエンヌは新作映画の撮影中で、その映画の主演女優アンナ(リュディヴィーヌ・サニエ)が、今は亡き、ファビエンヌの妹で女優だったサラと似ていることが話題となる。

 この映画の最大の伏線がこのサラで、事あるごとに会話に登場するが、サラの姿は最後まで見えることはない。

 是枝監督がフランスで映画を撮るということを聞いた時、期待よりも心配の方が先にたった。彼の映画作りの根幹である脚本は、極端な言い方をすれば即興に近い、台詞は自在に変化し、子役には撮影直前に口伝えで行われるという。

 はたしてそれが外国で可能だろうか?これは余計な心配であった。何気ない小道具やさり気ない一言が、後になってちゃんと弾け出す効果、これはマジックにすら思える。オズの魔法使、ぬるいお茶、クレープ、辞めるつもりではなかったマネージャー、お城のすぐ裏は刑務所、クローゼットの奥に仕舞われたサラの形見の服、映画中映画から見える真実…憎いエスプリ。

 特別編集版には、ハンクとシャルロット父娘の素敵な11分のエピソードが復活している!

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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