岐阜新聞 映画部

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「T2」の栄光を汚さない、原点回帰の極上エンタメ映画

2019年11月26日

ターミネーター:ニュー・フェイト

©2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film

【出演】アーノルド・シュワルツネッガー、リンダ・ハミルトン、マッケンジー・デイヴィス、ナタリー・レヴェス、ガブリエル・ルナ、ディエゴ・ボネータ
【監督】ティム・ミラー

「私たちを争わせて滅ぼすことが、奴らの目的だ」

 バブル経済が崩壊している事にまだ気が付かず、ソ連が崩壊して資本主義の勝利と浮かれていた1991年、後のSF映画に大きな影響を与えた『ターミネーター2』が公開された。アカデミー賞4部門受賞、キネ旬ベストテン8位と当時から高い評価を受けていた「T2」は、東西冷戦による核戦争の恐怖をベースにした物語で、新しい映像技術のCGを本格的に取り入れた初の作品であった。

 それから28年、正当な続編として作られた本作は、人類が滅亡する「審判の日」を回避するべく、「人類の救世主」を守るために未来から送られてきた女性戦士と、抹殺しようとするターミネーターとの闘いをさらに進化したCGを駆使して描いた、「T2」の栄光を汚さない、原点回帰の極上エンタメ映画である。

 「T2」で救われ、その後救世主となっていったジョン・コナーが、いきなり死んだ事になっているという驚きの幕開けで始まるが、これは「スカイネット」が支配した世界とは別の時間軸の話なのだとの理解でいい。ジェームズ・キャメロンが関わっているからこその大胆な発想だ。変わって「リージョン」という新しい機械軍団との闘いになっている。

 人類と機械軍団との闘いというコンセプトに変わりはないが、闘う主役は女性に変わっている。改造強化人間グレース(マッケンジー・デイヴィス)、命を狙われているダニー(ナタリー・レヴェス)、そして闘い続ける女性戦士サラ・コナー(リンダ・ハミルトン)。シュワちゃんがかすむほどの大活躍を見せてくれる。

 映画はメキシコで始まりテキサスへ移動する。国境に立ちはだかるフェンスは、トランプ政権の分断の象徴であり、ダニーの「私たちを争わせて滅ぼすことが、奴らの目的だ」というセリフからは、憎しみは人類滅亡への序章であるとの想いを強くする。

 何はともあれ、目を見張るアクションとカーチェイスを見るだけでも、充分元が取れる快作だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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