岐阜新聞 映画部

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生き方を変える方法を見つけるヒント

2019年11月19日

最高の人生の見つけ方

©2019「最高の人生の見つけ方」製作委員会

【出演】吉永小百合、天海祐希、ムロツヨシ、満島ひかり、鈴木梨央、駒木根隆介、ももいろクローバーZ、賀来賢人、前川清
【監督】犬童一心

夢物語だ綺麗事だと野暮なことは言わないで

 2008年に公開されたアメリカ映画『最高の人生の見つけ方』(ロブ・ライナー監督)は、家族のために自分の夢を犠牲にして働いてきた、実直な自動車整備工のカーター(モーガン・フリーマン)と、お金だけは有り余るほど持っているのに、見舞いに来るのは秘書だけという孤独な実業家エドワード(ジャック・ニコルソン)が、余命半年と宣告され、病院で出会うという設定。

 本作はそれを原案としたリメイクで、主役は女性になっているので人物の背景に違いはあるが、置かれている状況や人柄には共通点を残している。

 新作が公開されるたびに、「いつまでも若い」とか「変わらぬ美しさ」と称賛されながらも、裏では辛辣な批判を受ける吉永小百合の主演作品。今回は70歳の専業主婦・幸枝という役柄を自身76歳で、等身大に演じようとしている。

 対する天海祐希が演じるのは、叩き上げの経営手腕と絶大なカリスマ性で、ホテルチェーンを成長させた社長。有り余る財力と怖いもの知らずの気勢の裏に、若いツバメのような結婚相手の業業が悩みのタネ。

 普通であれば接点などあるわけのないふたりが、同じ運命に導かれて病室で出会う。たとえ、その巡り合わせが日常であっても、生きた環境の違いは水と油の関係だったはず。それを融合させるのが、病院で見かけた少女の落し物のノートだった。そこには"死ぬまでにやりたいこと“のリストが記されていた。

 スカイダイビングにエジプトへの旅行、ライブへの乱入…無邪気に非日常をはしゃぐ姿に、地獄の沙汰も金次第という格言を当てはめ切り捨てるのは、些か残酷な気がする。その選択は墓場には持っていけない金の有効利用なのであって、自分のためのささやかな達成感への最後の投資なのではないか?

 ふたりはその先に、消えることなく、しこりのように存在する遣り残しに対峙するのだが…。その勇気はかなり心を打つ。できすぎの綺麗事と切り捨てるなかれ。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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