岐阜新聞 映画部

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さらにパワーアップした最強の吉永小百合さん映画

2019年11月19日

最高の人生の見つけ方

©2019「最高の人生の見つけ方」製作委員会

【出演】吉永小百合、天海祐希、ムロツヨシ、満島ひかり、鈴木梨央、駒木根隆介、ももいろクローバーZ、賀来賢人、前川清
【監督】犬童一心

大女優を前に、錚々たる映画監督たちが砕け散る様が楽しみ

 私は吉永小百合さんの映画の大ファンである。この大女優の揺るぎない鉄壁のイメージを前にして、錚々たる映画監督たちがことごとく砕け散っていく様を、毎度毎度楽しみにしている。いってみれば些かの期待も裏切らない、ツッコミ技術を確かめられるジャンル映画になっているのだ。

 本作は、アメリカ映画の名作のリメイクという事で「ツッコめなかったらどうしよう」という不安を抱きながら観始めたが、そんな心配は瞬く間に吹き飛んだ。過激度は増していたのだ。

 末期癌に侵されてはいるが、最後まで肌艶もよくやつれた様子が一切ない幸枝(吉永小百合)が、煙草を吸う病床の少女(昭和の不良かよ!)から、彼女の弟をダシにして都合よく手に入れた「(少女の)やりたいことリスト」という他人の夢を、大金持ちのマ子(天海祐希)に金を出させて豪遊するという話。

 百歩譲って豪遊はアリとしても、娘の美春(満島ひかり)に女だからと言って家事一切を押し付けようとしてキレられたり、気遣いはできないが優しそうな夫(前川清)には癌の事を伝えなかったり、身勝手にもほどがあるのだ。

 やること自体が、他人のそれも子どもの夢であり、「少女の夢を叶えてあげる」という恩着せがましさが鼻持ちならないが、中でもマ子の父親を勝手に探し出し、強引に連れて行くというお節介には呆れるほかない。しかも、簡単に和解してしまう。唖然茫然である。

 ももクロのライブに、見も知らないお婆さんが訳も分からず突然呼び出されてステージに上がるなんて、ファンにとって迷惑以外のなにものでもない。

 長崎でのサプライズ結婚式に、のこのこやってきた夫が笑顔で参列したり、美春の妊娠の暴露によって引きこもりの弟があっさり部屋から出てきたり、すべてめでたし簡単解決!吉永さんは魔法使いかよ! 

 最初から最後まで思う存分楽しめる、さらにパワーアップした最強の吉永小百合さん映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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