岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

無謀ではなく崇高なる挑戦

2019年09月22日

フリーソロ

© 2018 National Geographic Partners, LLC. All rights reserved.

【出演】アレックス・オノルド、トミー・コールドウェル、ジミー・チン、サンニ・マッカンドレス
【監督】エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ/ジミー・チン

息遣いや汗を体感する圧倒的な映像

 来年2020年に開催される東京オリンピックで初めて正式種目に採用されるスポーツクライミングは、スピード、ボルダリング、リードの3種目で争われる競技。スピードは15メートルの垂直の壁をよじ登る早さを競う。ボルダリングは4メートルの壁に課題が提示され、それを制限時間内にクリアするもの。リードは15メートル以上の壁に設定された課題で高さを競うもの。それぞれ壁にはホールドと呼ばれる石が設置され、それを手がかり、足がかりにして登るのだが、そのための器具は一切なく、素手と足には専用のボルダリングシューズを履くだけ。日本では、早くからボルダリングで世界的に活躍する若手選手がいたので、映像などでご覧になった方も多いはず。3種目の総合で争われる今回の競技でも、日本人選手の活躍が期待される。そのクライミング競技のスピードとリードでは、安全確保のため、命綱の装着が義務となっている。

 アレックス・オノルドは、1985年アメリカ・カリフォルニア州サンラメントに生まれた。10歳の頃からクライミングを始め、カリフォルニア大学バークレー校に入学したが、19歳で中退し、以後プロクライマーとして活躍している。映画はそのアレックスの挑戦を追ったドキュメンタリーである。

 彼が挑もうとしているのは、ヨセミテ国立公園にある断崖絶壁エル・キャピタン。その高さは東京スカイツリー(634メートル)や、世界一高い超高層ビルとして名高いドバイのブルジュ・ハリファ(828メートル)を凌ぐ975メートル。カメラは1年以上にわたり寄り添う。ストイックな私生活にも肉薄し、恋人の存在が、命がけの挑戦に微妙な揺らぎを生じさせる瞬間もとらえる。そして、2017年春、その挑戦は始まる。岩壁に設置した固定カメラ、ドローンによる空中撮影、実際に壁に登ったスタッフの手持ちカメラと、圧巻の映像は高所恐怖症でなくとも手に汗握る…どころではない。

 “フリーソロ”は、ロープやハーネスを使うことなく、単独で岩壁を登るクライミングスタイルのことを言う。それはまた、“失敗”あるいは“死”を意味する怖い言葉でもある。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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