岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品ガラスの城の約束 B! 恐るべき家族の驚愕の実話 2019年09月06日 ガラスの城の約束 ©2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved. 【出演】ブリー・ラーソン、ウディ・ハレルソン、ナオミ・ワッツ、マックス・グリーンフィールド、セーラ・スヌーク、ジョシュ・カラス、ブリジット・ランディ=ペイン 【監督】デスティン・ダニエル・クレットン 夢のお城は美しく儚げに、心にとどまり続ける ニューヨーク・マガジンの人気コラムニスト・ジャネット・ウォールズ(ブリー・ラーソン)は、証券マンのデヴィッドとの婚約も決まり、順風満帆な人生を送っていた。ある夜、会食の帰りのタクシーから、ジャネットは廃屋でゴミを漁る男を見かける。それは、今は疎遠になっている実父レックス(ウディ・ハレルソン)だった。 ジャネットは、姉と弟、幼い妹の4人兄弟の次女として育った。レックスは定職に就くこともなく、家族には定住の場もない。時には突然の夜逃げから、放浪生活が始まったりする。次第に酒びたりになり、暴力的になるレックスに子どもたちは怯えることもあったが、素面の時は優しく魅力的だった。 野宿した荒野で獣の声が気になり眠れないジャネットに語る父親のお伽話は、温かい希望にあふれ、閉じこもった感情を開放してくれた。 一方で、粗暴な一面を見せる父がいる。満足に泳げないジャネットをわざとプールの深みに放り投げる。溺れそうになった子を放置する父親に、狂気を感じたこともあった。 母親のローズマリー(ナオミ・ワッツ)は売れない画家で、創作に入れば一心不乱にキャンバスに向かい、子どもたちも放置されたが、粗暴な父親からは身を挺して守ってくれた。しかし、狂気の父には見切りをつけながらも、結局は元サヤに収まる執着ぶりに、子どもたちは呆れるしかなかった。ジャネットは大学への進学を機に、家の呪縛からの逃走を決断する。 ウォールズ家の在り方は現実離れしており、感情移入は可哀想な子どもたちに偏る。そして、激しい拒絶にも関わらず、繋がり続ける家族の絆に困惑するしかない。大嫌いな父親であったのに、自分らしく生きることを貫く信念を教えてくれたのも、また、その父親であったという反面教師の論理は安易に理解し難い。原作はジャネット・ウォールズの同名の回顧録で、事実に基づく物語である事に驚愕する。 題名のガラスの城は父親が夢に描いた理想の家のことで、美しくも儚いという暗喩だろうか。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (7)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年07月23日 / 青春18×2 君へと続く道 切なさ溢れる抒情的恋愛映画の秀作 2024年07月22日 / 青春18×2 君へと続く道 ピュアな恋を描いた大人のラブストーリー 2024年07月22日 / 青春18×2 君へと続く道 初恋の思いを辿る台湾=日本合作恋愛映画 more 2018年03月07日 / 桜坂劇場(沖縄県) 様々な文化の発信基地として生まれ変わった映画館 2017年12月21日 / 飯田トキワ劇場(長野県) 雄大な山々に囲まれたスモールタウンの映画館 2019年12月11日 / キネマ旬報シアター(千葉県) 日本最古の映画雑誌社が運営する映画館で映画と本を満喫する。 more
夢のお城は美しく儚げに、心にとどまり続ける
ニューヨーク・マガジンの人気コラムニスト・ジャネット・ウォールズ(ブリー・ラーソン)は、証券マンのデヴィッドとの婚約も決まり、順風満帆な人生を送っていた。ある夜、会食の帰りのタクシーから、ジャネットは廃屋でゴミを漁る男を見かける。それは、今は疎遠になっている実父レックス(ウディ・ハレルソン)だった。
ジャネットは、姉と弟、幼い妹の4人兄弟の次女として育った。レックスは定職に就くこともなく、家族には定住の場もない。時には突然の夜逃げから、放浪生活が始まったりする。次第に酒びたりになり、暴力的になるレックスに子どもたちは怯えることもあったが、素面の時は優しく魅力的だった。
野宿した荒野で獣の声が気になり眠れないジャネットに語る父親のお伽話は、温かい希望にあふれ、閉じこもった感情を開放してくれた。
一方で、粗暴な一面を見せる父がいる。満足に泳げないジャネットをわざとプールの深みに放り投げる。溺れそうになった子を放置する父親に、狂気を感じたこともあった。
母親のローズマリー(ナオミ・ワッツ)は売れない画家で、創作に入れば一心不乱にキャンバスに向かい、子どもたちも放置されたが、粗暴な父親からは身を挺して守ってくれた。しかし、狂気の父には見切りをつけながらも、結局は元サヤに収まる執着ぶりに、子どもたちは呆れるしかなかった。ジャネットは大学への進学を機に、家の呪縛からの逃走を決断する。
ウォールズ家の在り方は現実離れしており、感情移入は可哀想な子どもたちに偏る。そして、激しい拒絶にも関わらず、繋がり続ける家族の絆に困惑するしかない。大嫌いな父親であったのに、自分らしく生きることを貫く信念を教えてくれたのも、また、その父親であったという反面教師の論理は安易に理解し難い。原作はジャネット・ウォールズの同名の回顧録で、事実に基づく物語である事に驚愕する。
題名のガラスの城は父親が夢に描いた理想の家のことで、美しくも儚いという暗喩だろうか。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。