岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品家族にサルーテ!イスキア島は大騒動 B! 大家族が感情をぶつけ合う重喜劇 2019年08月04日 家族にサルーテ!イスキア島は大騒動 ©2018 Lotus Production e 3 Marys Entertainment 【出演】ステファノ・アコルシ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、ステファニア・サンドレッリ、イヴァノ・マレスコッティ、クラウディア・ジェリーニ、ヴァレリア・ソラリーノ、サンドラ・ミーロ 【監督・脚本】ガブリエーレ・ムッチーノ 多登場人物を巧みにコントロールする構成と演出力が見事 イタリア・ナポリの船着場には、イスキア島に向かうフェリーが発着している。風光明媚なヴァカンスの地にはヨーロッパ各地から観光客が集まる。この日は島に暮らすピエトロとアルバ夫妻の結婚50周年を祝うために、親類たちが集合してくる。久しぶりの再会を喜び合う一同の様子を慌ただしくとらえるオープニングが物語を予告する。 金婚式の式典は島にある教会で厳かに執り行われる。その後、夫妻の広大な屋敷では盛大なパーティーが開かれる。夫妻は苦労してレストラン経営を成功させ、今は隠居の身にある。両親のレストランを受け継いだ長男のカルロは再婚して子どももいるが、この日は前妻のエレットラが娘を連れて出席していた。現在の妻ジネーヴラはそれが気にくわない。 長女のサラも親のレストランを受け継いだが、浮気者の夫ディエゴのことが気が気でない。次男のパオロは小説家として成功したが、妻子とは別れて独身生活に浮き足立っている。従兄弟のサンドロはアルツハイマーを患い、妻のベアトリーチェはその介護に疲れていた。もう1人の従兄弟リッカルドは身重の妻を抱えているが、借金まみれの無職で切羽詰まっていた。 お祝いの宴の裏側で展開する話は、次第に生々しい緊迫感を帯びてくる。それでも一同は懐かしい歌を合唱して場をおさめ、宴は御開きとなり、帰路につくはずだったが、港へ行くと天候不良によりフェリーは欠航となっていた。家族の間にあった疑心暗鬼のくすぶりは、足止めをされたことで再び燃え上がることになる。 監督のガブリエレ・ムッチーノは、ハリウッドでウィル・スミス主演の『幸せのちから』などの実績を上げての凱旋で、イタリア映画の伝統的な“大家族もの”に挑戦した。島の地理を役者の出入りに利用した巧みな展開で、多くの登場人物をコントロールした演出力が見事。感情をぶつけ合う家族の姿は、引いてしまうほどに強烈だが、普遍的な家族愛にほっこりできる良質な喜劇になっている。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (11)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2023年09月26日 / 君は行く先を知らない 暢気なユーモアが緊張に変わるロードムービー 2023年09月26日 / 君は行く先を知らない シリアスな内容を、ユーモアと詩情で包んだ瑞々しい映画 2023年09月25日 / ふたりのマエストロ 指揮者親子のハートフルコメディ more 2019年11月27日 / 前橋シネマハウス(群馬県) 今まで手つかずだった休館した映画館に再び映画の灯が… 2018年09月05日 / 塩山シネマ(山梨県) 風光明媚な山梨の桃源郷にある小さな映画館 2019年07月17日 / 千石劇場(長野県) 長野県最古の鉄筋建築物として重厚な姿を残す映画館 more
多登場人物を巧みにコントロールする構成と演出力が見事
イタリア・ナポリの船着場には、イスキア島に向かうフェリーが発着している。風光明媚なヴァカンスの地にはヨーロッパ各地から観光客が集まる。この日は島に暮らすピエトロとアルバ夫妻の結婚50周年を祝うために、親類たちが集合してくる。久しぶりの再会を喜び合う一同の様子を慌ただしくとらえるオープニングが物語を予告する。
金婚式の式典は島にある教会で厳かに執り行われる。その後、夫妻の広大な屋敷では盛大なパーティーが開かれる。夫妻は苦労してレストラン経営を成功させ、今は隠居の身にある。両親のレストランを受け継いだ長男のカルロは再婚して子どももいるが、この日は前妻のエレットラが娘を連れて出席していた。現在の妻ジネーヴラはそれが気にくわない。
長女のサラも親のレストランを受け継いだが、浮気者の夫ディエゴのことが気が気でない。次男のパオロは小説家として成功したが、妻子とは別れて独身生活に浮き足立っている。従兄弟のサンドロはアルツハイマーを患い、妻のベアトリーチェはその介護に疲れていた。もう1人の従兄弟リッカルドは身重の妻を抱えているが、借金まみれの無職で切羽詰まっていた。
お祝いの宴の裏側で展開する話は、次第に生々しい緊迫感を帯びてくる。それでも一同は懐かしい歌を合唱して場をおさめ、宴は御開きとなり、帰路につくはずだったが、港へ行くと天候不良によりフェリーは欠航となっていた。家族の間にあった疑心暗鬼のくすぶりは、足止めをされたことで再び燃え上がることになる。
監督のガブリエレ・ムッチーノは、ハリウッドでウィル・スミス主演の『幸せのちから』などの実績を上げての凱旋で、イタリア映画の伝統的な“大家族もの”に挑戦した。島の地理を役者の出入りに利用した巧みな展開で、多くの登場人物をコントロールした演出力が見事。感情をぶつけ合う家族の姿は、引いてしまうほどに強烈だが、普遍的な家族愛にほっこりできる良質な喜劇になっている。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。