岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

自衛と攻撃の狭間を考察する機会

2019年07月22日

空母いぶき

©かわぐちかいじ・惠谷治・小学館/『空母いぶき』フィルムパートナーズ

【出演】西島秀俊、佐々木蔵之介、本田翼、小倉久寛、髙嶋政宏、玉木宏、戸次重幸、市原隼人、堂珍嘉邦、片桐仁、和田正人、石田法嗣、平埜生成、土村芳、深川麻衣、山内圭哉、中井貴一、村上淳、吉田栄作、工藤俊作、金井勇太、中村育二、益岡徹、斉藤由貴、藤竜也、佐藤浩市
【監督】若松節朗

ただ待つのか、耳栓をするのか、今何ができるのか

 自衛隊は空母を所有していない。戦艦という呼称も使わない。艦船の多くは護衛艦という括りで、砲台があろうが、魚雷、ミサイルの発射能力があろうが、攻撃型ヘリコプターの搭載が可能だろうが、護衛艦と呼ぶ。しかし、護衛艦という呼び方は日本独自のもので、国際的には軍艦であり、護衛艦という固有の名称はない。

 近年、この護衛艦を改修して空母化する話は議論にもなっているが、そこでは、自衛型空母と攻撃型空母はどう区別するのか?という、お決まりの形式議論しか交わされない。言葉使いは悪いが、「アホらしい!」。

 『空母いぶき』はかわぐちかいじのコミックを原作としている。20XX年、12月23日未明という架空の日時で始まる。場所は沖ノ鳥島の西方450キロ、波照間群島にある“初島”。ここではこの初島という核の部分だけが架空の地となっている。この初島が謎の武装集団に占領される。謎の武装集団は新興国?ここでも架空が貫かれることで、つまりはこれは絵空事となる。たかが映画じゃないか!何も現実に即した設定で危機を煽る必要はない…ということか?

 この事態に第5護衛隊群に出動命令が下る。その旗艦こそ、日本初の航空機搭載型護衛艦“空母いぶき”だった。

 “いぶき”の艦長は航空自衛隊出身の秋津一佐(西島秀俊)で、それを補佐する副長は海上自衛隊生え抜きの新波二佐(佐々木蔵之介)というねじれの人事に意味はあるのか?

 緊張高まる中、敵潜水艦からミサイル攻撃が始まり、針路上には空母艦隊が現れる。

 対戦シーンに関しては、その多くはモニター越しで、自衛官たちの行動を含めて、軽薄に見えるのは肩すかし。政府の対応は静観しかできない結果待ちの構図で、これは逆にリアルかもしれない。民間の様子はコンビニのシーンで描かれるが、耳栓して知らぬふりする揶揄としても、これはいらない。白馬の騎士となる国連軍は幻想か!?

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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