岐阜新聞 映画部

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「母親」という立場を軸に、パリに住む母子の関係を描いた群像劇

2019年06月22日

パリの家族たち

© WILLOW FILMS – UGC IMAGES – ORANGE STUDIO – FRANCE 2 CINÉMA

【出演】オドレイ・フルーロ、クロチルド・クロ、オリヴィア・コート、パスカル・アルビロ、ジャンヌ・ローザ、カルメン・マウラ、ニコール・ガルシア、マリー=クリスティーヌ・バロー、ノエミ・メルラン
【監督・脚本】マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール

母親をどう捉えるのか、今を生きる多くの女性を使って多面的に描く

 本作は、「母親」という立場を軸にパリに住む様々な人たちの母と子の関係を、色とりどりに描いた群像劇だ。人生のキャリアの中で出産という大事業は女性にしか役割が与えられていない。なので、男性は母にはなれないが、女性は母になるか否かは選択できる。私は男性なので推し量るしかないが、母性や子育て、仕事との両立、あるいはノーキッズの選択など、女性は生物学的条件をクリアしていかなければならない厳しさがある。

 女性のマリー=カスティーユ監督は、母親という人間をどう捉えるのかを、今を生きる多くの女性を使って多面的に描いた、というのは分かる。が、あまりにも登場人物が多いのとシーンが次から次へと変わっていくため、相互の人間関係や親子関係を交通整理するのに精一杯で、途中で訳が分からなくなってくる。私の理解力不足とは思うが、一人ひとりへの切り込みも淡白で、いったい何に苦悩しているのか、考える間もなくシーンが切り替わってしまう。

 登場する女性の職業は、小児科医・ジャーナリスト・大学教授の三姉妹に、舞台女優と花屋の店員、そして究極は女性大統領!ほぼみんなセレブの上、今のフランスが抱える移民や黒人が全く登場しない!唯一他民族で登場するのは、我が子と離れて暮らすことを望んだ中国人娼婦!アジア人をバカにしてるのかと甚だ居心地が悪い。

 また、女性大統領が出産したら支持率が下がったというお話を、いったいどう解釈して咀嚼したらいいのか分からないし、三姉妹が幼い頃に母親から受けたトラウマで、出した結論がああなんて、監督は観客にどう思えと言うのだろうか?途中で出てくる、男同士で抱き合うゲイを想像させるシーンや、パイロットと母のシーンなど考えるのが面倒くさくなってくる。

 私にとって、何かさわさわして終始落ち着かない映画であったが、箸にも棒にもかからないとは思わない。ただ一言「私には合わなかった」というだけのことだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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