岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

周りなんて気にならない一方通行の恋

2019年05月31日

愛がなんだ

©2019「愛がなんだ」製作委員会

【出演】岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、穂志もえか、中島歩、片岡礼子、筒井真理子、江口のりこ
【監督・脚本】今泉力哉

口にできない言葉でもリアルに感じてしまう今泉マジック

 テルコ(岸井ゆきの)に電話がかかってくる。電話してきたのはマモル(成田凌)で、熱が出て寝込んでいるという。「もし、まだ会社にいるのなら、帰り道に何か食べ物を調達してきて欲しい」遠慮がちに、だが遠回しに、多分、彼女ならそうするだろうという、見え見えの下心が見え隠れする。「ちょうど会社から帰るところ」と答えるテルコがいる場所は、実は自分の部屋で、心待ちにしていたマモルからの電話に、すぐにソワソワと出かける支度を始める。出会ったその日から、好きになったマモルのためなら何でもする…というか、すでに会社までクビになり、すべてを犠牲にしてもいいと、どっぷりとはまり込んだ恋。マモルの部屋に駆けつけ、手料理(何故か味噌煮込みうどん)を作り、掃除までするのに、「そろそろ帰ってくれないかな」と深夜の街に放り出されてしまう。そこでぼやく本音は「どうやら、まだ、マモルの恋人ではない」という、認めたくない現実だった。

 友人の葉子(深川麻衣)からは「そんな“俺様男”やめときな」と釘を刺されるが、その葉子にもコバンザメのように寄り添う年下の男ナカハラ(若葉竜也)がいた。テルコは葉子にパシリのように使われるナカハラのことを「気持ち悪い」と面と向かって口走るが、それが自分の合わせ鏡であり、同様の完全なる一方通行の恋愛であることに気づかない…いや、気づいているはずなのだが…。

 会話=台詞は一見リアルだが、実は言わないであろう心の声まで聞こえる。28歳の女性の選択にしては共感の余地はない、という現実的な指摘も可能だが、身に覚えのある恋愛に痛い記憶をくすぐられる。

 原作は角田光代が2003年に発表した同名小説。今泉力哉監督との相性の良さは抜群で、小説世界の登場人物の個性やその台詞の一言一言が、映画=映像に見事に昇華された。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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