岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

貧困や格差を救える教育のあり方を提示する秀作

2019年05月24日

12か月の未来図

©ATELIER DE PRODUCTION - SOMBRERO FILMS - FRANCE 3 CINEMA - 2017

【出演】ドゥニ・ポダリデス、レア・ドリュッケール
【監督・脚本】オリヴィエ・アヤシュ=ヴィダル

自然なリアリティで輝く教室風景

 フランソワ(ドゥニ・ポダリデス)は、パリの中心にある名門アンリ4世高校で国語の教鞭をとる教師。父親は有名な作家で、妹は彫金作家として活躍する典型的なブルジョワ家庭に育った。ある夜、父の新刊サイン会で教育改革論を口走ったことで、当たり前と思っていた環境が大きく変わることになる。

 パリの中心と郊外の学校では大きな格差が生じていた。フランソワが口走ったのは、その問題の解決にはベテラン教師を問題校に派遣して、新米教師を支援すればいいという改革案だった。それを聞きつけたのが国民教育省でこの問題を専門に扱う役人だったことから、ベテラン教師であり提案の当事者であるフランソワは適任者とされて、問題校である郊外のバルバラ中学に派遣されることになる。

 赴任先に待ち構えていたのは、学級崩壊さながら、教師のことなど眼中にない勝手気ままな生徒たちと、諦めに似た合理主義でしか生徒たちに接することのできない若手教師たちだった。エリート校とは全く違う価値観に戸惑うしかないフランソワだったが、そこに小さな闘志も湧き、とりあえずは生徒たちと真剣に対峙してみる決意をする。

 昨今、フランスに限らず、ヨーロッパでは移民の問題が映画でも取り上げられることが増えた。この映画にも地域格差という問題の裏にあるのは様々な出自を持つ人々であり、肌の色の違いや抜け出せない貧困家庭の子どもたちである。その象徴のようなクラスの問題児セドゥに、フランソワは教師としての使命感以上の父性を目覚めさせられる。

 貧困の連鎖を救えるのは教育というのが、理想主義だという悲観からは何も生まれない。無関心だったフランソワの変化に見える希望に感動するのは甘いだろうか?

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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