岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

壮大なスケールで魅せる戦国ロマン漫画の実写化

2019年05月11日

キングダム

©原泰久/集英社 ©2019映画「キングダム」製作委員会

【出演】山﨑賢人、吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多、満島真之介、阿部新之介、深水元基、六平直政、髙嶋政宏、要潤、橋本じゅん、坂口拓、宇梶剛士、加藤雅也、石橋蓮司、大沢たかお
【監督】佐藤信介

戦争孤児の少年が夢を賭けて闘う

 原作は2006年から「週刊ヤングジャンプ」に連載されている原泰久の漫画で、2013年には手塚治虫文化賞でマンガ大賞を受賞している。現在も連載は続き、単行本は54巻に及ぶ歴史大河漫画となっている。2012年にはNHKでアニメ化もされているが、実写化は不可能と言われていたから、待望の映画化となるのだが、それは簡単ではない。

 人気漫画の実写映画化はハードルが高い。それは漫画に限ったことではなく、小説などを原作にした場合にも同様のことが言えるのだが…。読者に強い思い入れがあることで、様々なイメージができあがり、個々に空想作品が誕生してしまうからだ。

 今回の実写映画化は、原作の5巻分をもとにして、脚本の段階から原作者の原泰久が深く関わっている。

 紀元前245年、春秋戦国時代、中国西方の国“秦”が舞台。この設定は登場人物を含め、圧倒的な情報量となるが、それをさらりと省略している。少年から青年に成長した戦争孤児の奴隷である信(山﨑賢人)と漂(吉沢亮)が剣の稽古中に、通りすがりの武将の目に留まり、ふたりの運命が転換して物語が進行するが、いくつかの謎は放置され余計な説明はない。

 “秦”の異母兄弟の王子による覇権争いは、敵味方の単純な構図ではなく、国をはみ出すように世界観もひろがりをみせる。王派が助けを求める“山の民”の棲家は『ロード・オブ・ザ・リング』を思わせる。クライマックスに用意されている王宮での対決は、対戦型ゲームの感覚で、ステージごとに繰り出すキャラクターには唐突感はあるものの、それぞれの見せ場は用意されている。

 日本映画が得意としなかった、ファンタジー映画としてのビジュアルのひろがりが素晴らしく、歴史的な重厚さを維持していることも評価したい。成長物語としては始まったばかり、続編の可能性が見える。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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