岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

心を豊かにしてくれる本や映画との出会い

2019年04月20日

マイ・ブックショップ

©2017 Green Films AIE, Diagonal Televisio SLU, A Contracorriente Films SL, Zephyr Films The Bookshop Ltd.

【出演】エミリー・モーティマー、ビル・ナイ、パトリシア・クラークソン
【監督・脚本】イザベル・コイシェ

劇中に登場する本をあなたは何冊読んでますか?

 1959年、イギリス東部の海辺の小さな町。小舟に揺られてフローレンス(エミリー・モーティマー)がやって来る。

 戦争未亡人のフローレンスは、夫との夢であった書店をこの町で開こうとしている。放置されたボロ屋“オールドハウス”を買い取り準備を進めるが、町の銀行からは融資を断られ、あげくの果てには建物の転売を勧められ、他の物件を紹介されるなど、町の住人との間に漂う異様な雰囲気を感じ取る。

 ある日、町の有力者ガマート夫妻に招待され、屋敷で催されたパーティへ行く。夫人(パトリシア・クラークソン)からは、町に本屋ができることを心待ちにしていたと好意をちらつかせながらも、“オールドハウス”は芸術センターとして使う計画があると、今更ながらの勝手な申し出をささやかれる。町の住人たちの忖度にようやく合点がいくフローレンスだったが、それで自分の決意が揺らぐものではなかった。

 『マイ・ブックショップ』は、素朴な女性が難しい事と承知しながらも、ささやかな“思い"のために、たくましき反骨精神を抱いて理想の書店を開く物語で、そこには随分と嫌な人たちが登場するが、フローレンスを支えたいと願う人も存在する。古い邸宅に引きこもった老紳士ブランディッシュ(ビル・ナイ)は店の上客となり、本の仕入れのアドバイザーまで務める。店の手伝いをするクリスティーンは生意気な子どもだが、フローレンスの良き理解者となる。何より、勇気を持てばより良い人生が送れる、その手助けはきっと本がしてくれる、という静かなメッセージは心に沁みる。

 登場する本の中にレイ・ブラッドベリの「華氏451度」がある。それは禁じられた本を燃やす話で、67年にフランソワ・トリュフォー監督で映画化された。主演はこの映画でナレーションを務めたジュリー・クリスティ。見事に繋がる細やかなオマージュ。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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