岐阜新聞 映画部

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華麗なる宮廷の裏側のどす黒い女の戦争

2019年04月21日

女王陛下のお気に入り

©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

【出演】オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ、ニコラス・ホルト、ジョー・アルウィン
【監督】ヨルゴス・ランティモス

3女優の火花散る演技に魅了される

 舞台は18世紀はじめのイングランド。当時はスペインをめぐる戦争の真っ最中で、政情は不安定な時代だったはずだが、王室内ではそれとはお構いなしに、まったく別の争いごとが起きていた。

 家の没落によって故郷を追われたアビゲイル(エマ・ストーン)は、泥だらけになりながら宮殿にたどり着く。そこでは、最初のグレートブリテン王国の君主・アン女王(オリヴィア・コールマン)が絶大なる権力を握っていた。しかし、女王は妊娠した17人の子どもを亡くし、精神的にも肉体的にも衰弱していた。それを支えているのが、幼なじみでもあり公爵夫人でもあるサラ(レイチェル・ワイズ)で、彼女は女王の側近として政治にまで介入し、国を動かしていた。アビゲイルはそのサラの懐に飛び込む。

 アン女王は痛風の発作で苦しんでいる。それに寄り添い、足をさすりなだめるのはサラの役目だったが、アビゲイルは薬草を摘み、許可なく女王の足に塗る。それを知ったサラは激怒し、アビゲイルに鞭打ちの罰をあたえるが、女王の足の痛みが和らいだことで罰からは逃れ、侍女としての役職を得ることになる。アビゲイルが絶対の関係であった女王とサラの間に入ることで、そのバランスは揺らぎ、ふたりの“秘密”を知ることでより大胆に踏み込んでいく。

 『女王陛下のお気に入り』は史実や実在した人物を配した宮廷ドラマだが、時系列には違いがあり、衣装には現代色が大胆に取り入れられている。また、実在したアン女王の夫・ジョージ王配は登場しない。アンとサラの関係にあった同性愛的なものや、身分を得るための色仕掛けなど、内容はかなりブラックで、根底にある嫉妬には素直に笑えないほどの凄みがある。

 3女優の演技は素晴らしく、アンサンブルとしても申し分ない。そして、前作『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』とは全く違う題材を見事に仕上げたランティモス監督の多才ぶりには驚かされた。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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