岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品輪違屋糸里 京女たちの幕末 B! 幕末京都新選組を女性目線で描く愛の物語 2019年01月28日 輪違屋糸里 京女たちの幕末 ©2018銀幕維新の会/「輪違屋糸里」製作委員会 【出演】藤野涼子、溝端淳平、松井玲奈、佐藤隆太、新妻聖子、石濱朗、榎木孝明、田畑智子、塚本高史 【監督】加島幹也 男の闘いに翻弄される女の夢 時は幕末。場は京都の花街・島原。静々と花魁道中が行く。花魁は客の待つ引手茶屋まで迎えに行くのが作法だった。ちなみに、花魁という呼び方は江戸・吉原特有のもので、京都、上方では太夫という呼び方をした。 ここで事件が起きる。茶屋前で音羽太夫(新妻聖子)は、太夫としての“しきたり”を重んじる道理を貫く。花魁、太夫は遊女の中では最高位の身分を与えられていた。教養は高く、場合によっては客を選ぶ権利があった。客は新選組の局長・芹澤鴨(塚本高史)で、血気盛んな芹澤は音羽を無礼打ちする。初期の新選組は“壬生浪”と呼ばれ、その非道ぶりが目にあまり、京都の住人には嫌悪の対象だった。 音羽は自らが後見と可愛がっていた、天神の糸里(藤野涼子)たちに見守られながら息を引き取る。 幕末の京都には血なまぐさい事件が多い。それに度々絡むのが新選組でもある。『輪違屋糸里』はその副題にもある通り、“京女たちの幕末”が強調される。糸里の親友で桔梗屋の芸妓・吉栄(松井玲奈)は、芹澤の腹心の平山五郎(佐藤隆太)と恋仲にある。芹澤にもお梅(田畑智子)という愛人がいた。 この頃、新選組には芹澤のほか、近藤勇というもうひとりの局長が存在し、両派には対立の兆しがあった。武士には上士、下士の格差があり、新選組のそれには、武士と百姓というより深刻な壁があった。やがて、“芹澤鴨暗殺計画”が持ち上がる。その中心にいたのが土方歳三(溝端淳平)で、糸里はその土方に淡い恋心を抱いていた。物語は強い女性たちの気持ちが深く関わる。実際にはどうであったかは疑問も残るが、殉じる行為は男だけのものではない。 舞台となる“輪違屋”は京都市下京区の花街・島原の置屋兼お茶屋で、現在も営業を続けている。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (7)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年09月26日 / どら平太 日本映画黄金時代を彷彿とさせる盛りだくさんの時代劇 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 助けを求める人はもはや敵ではなく、ただの人間だ 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 海の男たちが下す決断を描くヒューマンドラマ more 2020年02月19日 / 笠間ポレポレホール(茨城県) 休日の朝、家族揃って映画を観る…そんな街の映画館 2018年10月03日 / シネモンド(石川県) 加賀百万石の城下町から次世代の映像作家を 2018年04月25日 / あまや座(茨城県) 日本の原風景が残る街で映画を観る贅沢 more
男の闘いに翻弄される女の夢
時は幕末。場は京都の花街・島原。静々と花魁道中が行く。花魁は客の待つ引手茶屋まで迎えに行くのが作法だった。ちなみに、花魁という呼び方は江戸・吉原特有のもので、京都、上方では太夫という呼び方をした。
ここで事件が起きる。茶屋前で音羽太夫(新妻聖子)は、太夫としての“しきたり”を重んじる道理を貫く。花魁、太夫は遊女の中では最高位の身分を与えられていた。教養は高く、場合によっては客を選ぶ権利があった。客は新選組の局長・芹澤鴨(塚本高史)で、血気盛んな芹澤は音羽を無礼打ちする。初期の新選組は“壬生浪”と呼ばれ、その非道ぶりが目にあまり、京都の住人には嫌悪の対象だった。
音羽は自らが後見と可愛がっていた、天神の糸里(藤野涼子)たちに見守られながら息を引き取る。
幕末の京都には血なまぐさい事件が多い。それに度々絡むのが新選組でもある。『輪違屋糸里』はその副題にもある通り、“京女たちの幕末”が強調される。糸里の親友で桔梗屋の芸妓・吉栄(松井玲奈)は、芹澤の腹心の平山五郎(佐藤隆太)と恋仲にある。芹澤にもお梅(田畑智子)という愛人がいた。
この頃、新選組には芹澤のほか、近藤勇というもうひとりの局長が存在し、両派には対立の兆しがあった。武士には上士、下士の格差があり、新選組のそれには、武士と百姓というより深刻な壁があった。やがて、“芹澤鴨暗殺計画”が持ち上がる。その中心にいたのが土方歳三(溝端淳平)で、糸里はその土方に淡い恋心を抱いていた。物語は強い女性たちの気持ちが深く関わる。実際にはどうであったかは疑問も残るが、殉じる行為は男だけのものではない。
舞台となる“輪違屋”は京都市下京区の花街・島原の置屋兼お茶屋で、現在も営業を続けている。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。