岐阜新聞 映画部

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バルバラの謎に満ちた人生を描いた、見ごたえ充分の映画

2019年01月20日

バルバラ セーヌの黒いバラ

©2017 - WAITING FOR CINEMA - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA – ALICELEO

【出演】ジャンヌ・バリバール、マチュー・アマルリック、ヴァンサン・ペイラニ、オーロール・クレマン、グレゴワール・コラン、ファニー・インバー、ピエール・ミション
【監督】マチュー・アマルリック

ジャンヌ・バリバールの歌唱シーンだけでも見る価値あり

 伝説のシャンソン歌手バルバラの謎に満ちた数奇な人生を、撮影中の映画の中で演じるブリジット(ジャンヌ・バリバール)と、彼女の伝記映画を監督するイヴ(マチュー・アマルリック)。映画はフィクションと現実との境目が次第に曖昧になり、見失っていく姿を入れ子構造で描いており、夢か現か幻か、見ているこちらもよく分からなくなってくる。一度観ただけではストーリーの全容把握は難しいが、ジャンヌ・バリバールの悪魔的で官能的で、歌姫が乗り移ったような歌唱シーンだけでも見る価値がある。

 お洒落なフランス映画が好きならば、シャンソンくらい生で聴かねばと思い、今は無き伝説のシャンソン喫茶「銀巴里」に行ったのは、大学卒業後すぐの1982年。それまではエディット・ピアフかイヴ・モンタンくらいしか聴いた事がなかった私だったが、未だに鮮明に覚えているとても素敵なライブで、その後たまにシャンソンを聴くようになった。

 この映画を観るまでバルバラの事はよく知らなかったが、大好きなピアフと同じように、自らの人生を投影させた詞を、黒衣に身を包んで歌い上げる魂の歌い手であったことが、ストレートに伝わってくる。

 映画は、このバルバラの情熱的な生きざまを多面的に捉えていく訳だが、映画監督イヴが、現実の女優ブリジットを愛しているのか、演じているバルバラを愛しているのか、あえてわからなくする事で、複雑な様相を帯びてくる。

 前半、劇中映画のシーン、母とバルバラの会話「歌はどこでうたうの?」「パリのいたるところ」でカットがかかった後、イヴが部屋で泣いてシーンがあるが、それはどちらともとれる描き方だ。やはり劇中劇で、コンサートが終わったバルバラに現実のイヴ監督がサインを求めるシーンになってくると、観ている私の頭の中は混乱してきてフリーズ状態になってしまう。

 一度では分析できない手強い映画であるが、見応え充分の映画ではある。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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