岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

塔のはらわたにこめられた岡本太郎のメッセージ

2019年01月12日

太陽の塔

©2018映画『太陽の塔』製作委員会

【監督】関根光才

奇異な人ではなく特異な人の片鱗に触れる

 昨年11月、2025年に大阪での万国博覧会開催が決定した。2020年の東京オリンピックに続き、約半世紀を経て国際的なイベントがリプレイされる。70年の大阪万博は千里の広大な土地があてられた。奇抜な建物が林立する空間を形成すると、まさにそこは未来を予言する地となった。いま、その跡地には、当時のシンボルであった“太陽の塔”が孤独に佇んでいる。開催時には塔の周りには“お祭り広場”というスペースがあり、屋根が設けられ、塔はその屋根を突き破るように立っていた。その作者が岡本太郎。

 70年代、岡本太郎は露出過多だった。文化人やアーティストが盛んにマスコミを窓口に発信する昨今と異なり、岡本のそれには違和感があった。当時の大多数の印象は“奇異な人”というものだろう。後に分かるのだが、彼にはプロデューサーが存在した。つくられていた人物像、あるいは岡本が演じていたのは道化であった。

 『太陽の塔』は建設当時の当事者の秘話や証言と岡本の理解者の分析を交えたドキュメンタリーだが、この鬼気迫る創造の過程はすこぶる面白いし、奇異な岡本の印象も一変する。 岡本太郎が早くに、日本の原文化である縄文に傾倒していたことは知られている。日本固有の文化形態であった縄文期に生まれた土器や土偶の造形は、岡本に強い影響を与えた。

 個人的な話になるが、70年の万博見物の時、テーマ館であった太陽の塔を目指して、入場ゲートからすぐの行列に並んだ。特別な思い入れがあったわけではないが、“月の石”目当ての2、3時間待ちの行列には耐えられそうもなかったからだ。太陽の塔の内部は、小学生には暗くてよく分からない世界だった。

 いま、この映画で明らかにされる岡本の創造のエネルギーと意志を理解できることに、強い感銘を受ける。だからこそ、後半の変調が残念でならない。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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