岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

疲れ果てた主婦のもとにやって来る救世主

2018年12月22日

タリーと私の秘密の時間

©2017 TULLY PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

【出演】シャーリーズ・セロン、マッケンジー・デイヴィス ほか
【監督】ジェイソン・ライトマン

シャーリーズ・セロン 圧巻の“おなか”

 マーロ(シャーリーズ・セロン)は2人の子どもを育てる主婦で、お腹には3人目の子を身ごもっている。忙しい朝、子どもを学校へ送り届ける車中でも、イライラの時限爆弾は飽和状態にまで膨らみ、遂にはキレてしまう。本当は家事を完璧にこなし、化粧もして、できる主婦でいたいのだが、食事は冷凍食品に頼り、子どもたちにも、「ママ、その身体どうしたの?」と弛んだ状況を指摘されてしまう始末。3人目の子が生まれると、負担はさらに加わる。夫はそんな様子を気にかけてはいるのだが、何かしてくれるわけでもない。悶々と過ごすうち、兄から“ナイトシッター”の存在を知らされる。しかし、人を雇うにはそれなりのお金も必要となるし、他人を家に入れることにも尻込みしてしまうのだが…兄夫婦は強く後押しする。

 そしてある夜、ナイトシッターのタリー(マッケンジー・デイヴィス)が家にやって来る。若くて自由奔放でちょっと変わっているタリーに、はじめは戸惑い、疑心暗鬼を抱くマーロだったが、その心配をよそに、タリーは完璧な気遣いをしてくれた。授乳後の赤ん坊の寝かしつけを任せて、安らぎの眠りを堪能する。汚れの積み重なったキッチンはピカピカに磨き込まれ、手作りのカップケーキがテーブルを飾っている。うち解けたふたりは、互いの打ち明け話をするようにまでなる。そして、大胆にもタリーはマーロ夫婦のベッドルームにまで侵入してくる。マーロはみるみる快復していくのだが…。

 最高の20代が過ぎると、ゴミ収集車みたいに30代があっという間にやってくる。生活に疲れて、夢は置き去りのまま忘れ去られる。マーロとタリーの夜の対話は痛い言葉で埋め尽くされている。シャーリーズ・セロンの圧巻の演技とお話の “仕掛け” にきっと驚かされる好編。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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