岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

反発必至!スリリングな恋愛映画

2018年12月08日

寝ても覚めても

©2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINÉMAS

【出演】東出昌大、唐田えりか、瀬戸康史、山下リオ、伊藤沙莉、渡辺大知(黒猫チェルシー)、仲本工事、田中美佐子
【監督】濱口竜介

運命は官能的でも描かれるのは平穏な日常

 街を歩く若い男女の姿をカットバックで追う。ふたりは美術館に吸い込まれて行く。そこで開催されているのは、写真家“牛腸茂雄(ごちょう・しげお)” の展覧会。散策の様子は映し出されるが、この早逝の写真家の作品が主張することはない。しかし、時と場所を移し、展覧会はリフレインする。会場を出たふたりは別々の道を行くが、子どもが仕掛けた爆竹の音で対峙することになる。出会いそのものがアクシデントなのか…ふたり=朝子と麦は、名乗り合い結ばれる。強引と思われるこの冒頭が、不思議な映画を見事に予告する。

 原作は芥川賞作家・柴崎友香の同名小説。初単行本化作品「きょうのできごと」は、行定勲監督で映画化されている。若者の日常を精緻なタッチと感性で描写した作品が特徴的。「寝ても覚めても」は濱口竜介監督が惚れこみ、あたためていた企画で、監督の商業映画デビューを飾ることになった。濱口作品は前作『ハッピーアワー』があり、これは上映時間が5時間を超える長尺で、自主製作であったのにも関わらず話題となり、高い評価も受けた。この作品は4人の若い女性の日常を切り取ったもので、柴崎小説の世界観との共通性が認められる。

 運命的な出会いをした朝子と麦だったが、放蕩な麦は、ある日突然、姿を消す。3年後、東京に出てカフェに勤めていた朝子は、隣のビルの酒造会社の社員・亮平に出会う。はじめ、姿を消した麦と同じ顔をした亮平に、朝子の動揺は尋常なものではなく、ふたりの間にはぎくしゃくした戸惑いが発生するが、そんな溝を埋めるきっかけとなるのが、牛腸茂雄の写真展だった。そして、3.11震災の日、ふたりは遂に結ばれる。

 官能的な運命を提示しながらも、映し出されるのは日常に過ぎない。時に行動は予測不可能で、共感とは遠い瞬間もある。それでもなお、その毒に似たものに引き込まれてしまう恋愛映画…この力業は凄い!

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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