岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

手に汗握る社会派カンニング・サスペンス

2018年11月24日

バッド・ジーニアス 危険な天才たち

©GDH 559 CO., LTD. All rights reserved.

【出演】チュティモン・ジョンジャルーンスックジン、チャーノン・サンティナトーンクン、イッサヤー・ホースワン、ティーラドン・スパパンピンヨー
【監督】ナタウット・プーンピリヤ

若干37歳の新鋭監督の今後の活躍が楽しみ

 今度はタイから、斬新なエンタテインメントの快作がやってきた。世界16の国と地域で大ヒットを記録し、タイ・アカデミー賞と呼ばれるスパンナホン賞で史上最多の12部門を受賞した『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』である。

 高校生の組織的なカンニングを描いたサスペンス映画だが、社会派的な切り口と青春映画的なほろ苦さにより、単純な犯罪映画にはない魅力を有した娯楽作になっている。

 格差社会・学歴偏重による受験戦争といった社会背景や、ヒロインの天才女子高生の境遇、更にはヒロインを演じるチュティモン・ジョンジャルーンスックジンのクールな魅力が、観客を彼女たちの犯罪行為に加担させていく。けれど、彼女の内的葛藤や犯罪は割に合わないという現実の厳しさを描くことも忘れてはいない。

 カンニングの巧妙な手口と想定外のアクシデントをスリリングに描く、若干37歳の新悦ナタウット・プーンピリヤ監督の技巧的な演出力にも感心させられる。世界に通用するセンスと技術を併せ持つ彼の今後の活躍が楽しみである。

語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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