岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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歯切れよいテンポでスリリングに見せる社会派群像ドラマ

2018年11月17日

1987、ある闘いの真実

©2017 CJ E&M CORPORATION, WOOJEUNG FILM ALL RIGHTS RESERVED

【出演】キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、キム・テリ、ユ・ヘジン、ソル・ギョング、カン・ドンウォン
【監督】チャン・ジュナン

教会の大屋根での争奪戦は、まるでヒッチコック映画のよう

 ソウル五輪を翌年に控えた1987年、北朝鮮脅威論を煽りたて民主化運動を敵視し、言論弾圧を行っていた韓国全斗煥軍事政権下で起こったソウル大生の変死。拷問死をごまかそうと白々しい嘘をつく政権・警察側と、死の真相を明らかにしようとする検察・マスコミ・市民・学生の対決を、歯切れよいテンポでスリリングに見せてくれる、実に面白い社会派群像ドラマである。

 この映画は「名もなき市民たちの知られざる闘い」風には描かれておらず、東映実録映画のように、登場人物一人一人のキャラが際立っている上、それぞれ見せ場があり、さながらオールスター映画のような作りとなっている。悪と正義、敵と味方がはっきり分かれており、特に対共分室パク所長(キム・ユンソク)の恫喝・暴力を全面に出した権力の横暴の限りを尽くす悪役ぶりは、韓国ノワールを含めても屈指の悪党である。

 一方、正義の側の人物もまた面白い。拷問死を疑ったソウル地検公安部のチェ検事(ハ・ジョンウ)はアルコール依存症。刑務所の看守(ユ・ヘジン)は一見臆病で気弱そうだが、実は民主化の隠れ運動家だ。その姪の延世(ヨンセ)大生ヨニ(キム・テリ)は、「デモをしても何も変わらない」と思っていたが、学生運動家のイ・ハニョル(カン・ドンウォン)に一目ぼれしてついていく。まあ相手がカン・ドンウォンなので仕方ないが。

 真相は、権力の横暴に怒りを覚える様々な人たちの奇跡のリレーで解明されていくのだが、それを阻止しようとする政府側との攻防はどんどんエスカレートしていく。最終盤、犯人の名前入りの書類を持った民主運動家キムと、警察との間で繰り広げられる教会の大屋根での争奪戦は、まるでヒッチコック映画のようだ。

 韓国では長らくタブーであったであろう1987年の民主化闘争を、娯楽映画の王道を行く手法で撮ったチャン・ジュナン監督の手腕は凄く、多くの人に真実を届ける事ができたのである。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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