岐阜新聞 映画部

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子どものココロがストレートに描かれた「理屈抜きにおもしろい」映画

2018年10月11日

パパはわるものチャンピオン

©2018「パパはわるものチャンピオン」製作委員会

【出演】棚橋弘至、木村佳乃、寺田心、仲里依紗
【監督・脚本】藤村享平

“自己肯定感”は生きる力になる

 褒め言葉のひとつに「理屈抜きにおもしろい」という言い方がある。小学校低学年向けの絵本を原作とした本作は、親が子へ語り聞かせるように優しく、ひらがなのみで構成された絵本のように分かりやすい映画である。

 主演は「100年に一人の逸材」と呼ばれる新日本プロレスのエース・棚橋弘至選手。職業俳優が特訓を受けて演じ、撮影の工夫でそれらしく見せるスポーツ映画も見応えがあるが、本作は、本物のプロレスラーが鍛えぬかれた肉体で本物の肉弾戦を繰り広げる。多彩で分かりやすい技の数々はプロレスの醍醐味であり、「理屈抜き」のおもしろさを存分に見せてくれる。

 映画は「パパはわるものチャンピオン」のタイトルの通り、9才の祥太(寺田心)の視点で進んでいく。内容は子どもが感じた通り、考えた通りの目線で貫かれ、こざかしさやこずるさが無い。優しくてカッコいいパパの仕事が「ゴキブリマスク」だと分かった時の驚きと恥ずかしさ。パパが正義のドラゴンジョージだったらいいのにという願い。もうちょっと高学年だったら、無理に納得するかもしれないが、包み隠さない子どものココロがストレートに描かれる。

 一方、大人のプロレスマニアも純粋だ。雑誌編集者のミチコ(仲里依紗)は、プロレスのすべてを愛してやまないファン目線で貫かれていて、私たちにプロレスの楽しみ方の神髄を教えてくれる。虚実入り混じる世界観を楽しみ、その中でのヒール(わるもの)の存在を「だって、ヒーローだけだとプロレスつまらないじゃないですか?」とあっさり説明してくれる。

 みんなそれぞれ与えられた役割を一生懸命にこなすのだ。パパは卑怯な手で勝利をもぎとり、ブーイングを浴びれば浴びるほどカッコいいのだと、祥太も段々分かってくる。

 日陰の仕事でも嫌われる仕事でも全力で生きる。棚橋選手のモットー「自己肯定感」が生きる力になる事を、子どもに分かってもらいたい映画である。


★☆ 棚橋弘至選手のトークショー開催決定!☆★
【日時】10/13(土) 15:00~の回『パパはわるものチャンピオン』上映終了後
【場所】岐阜CINEX(岐阜市日ノ出町2-20 柳ケ瀬・髙島屋前)

詳細・チケットの購入はコチラ(https://gifumovieclub.com/news/1144)

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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