岐阜新聞 映画部

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夢と挫折 プロ棋士への道

2018年10月08日

泣き虫しょったんの奇跡

©2018「泣き虫しょったんの奇跡」製作委員会

【出演】松田龍平、野田洋次郎、永山絢斗、染谷将太、妻夫木聡、松たか子、イッセー尾形、小林薫、國村隼
【監督・脚本】豊田利晃

藤井聡太七段だけじゃない個性派揃い

 藤井聡太七段の活躍で、将棋界は何かと賑やかなことになっている。バラエティ番組などで露出の多い“ひふみん“こと加藤一二三さんは、藤井七段と同じく、かつては神童と呼ばれ、一流棋士として永く活躍した。羽生善治竜王は史上初の永世七冠を達成して、国民栄誉賞に推された。将棋の駒の並べ方すら知らない人でも、これらの棋士の名前と顔はご存知だろう。

 『泣き虫しょったんの奇跡』は、現在、プロ棋士として活躍する瀬川晶司五段の自伝の映画化で、そんなプロ棋士の世界を描いている。

 まず、幼い頃、好きではじまった将棋への興味が、次第に高まっていく様子が、リズミカルにコミカルに描かれる。

 プロ棋士への登竜門である奨励会時代は、仲間やライバルを交えて、個性派の猛者たちが集まり、戦場のような対局が展開して面白いが、荒んでいく日常も繊細に描写されている。26歳というプロへのタイムリミットはあっという間に訪れる。

 藤井聡太七段が天才と言われるのは、この奨励会をストレートに昇段通過していったからだが、映画では敗れ消えてゆく敗者たちに視線が注がれる。しかし、そのまなざしはあくまで温かい。これは監督の豊田利晃が、かつて将棋界=奨励会に籍を置いていたことが影響しているのだろう。

 一度は夢破れ、プロ棋士への道を諦めた瀬川が、将棋の面白さを再確認していくという後半は、スピーディーに展開する。彼をサポートしてくれる友人、理解者を得て、勝負へのこだわりから解放されたとき、新たな夢が見えてくる。

 豪華な出演者がでしゃばることなく映画の脇を固め、本物のプロ棋士たちの登場も楽しい。豊田監督作品には16年ぶりの主演となった松田龍平のニヒルな勝負師ぶりも意外に良い。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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