岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

毎日を楽しく生きる難病の子どもを母親のような目線で描くドキュメンタリー

2018年08月21日

子どもが教えてくれたこと

©Incognita Films - TF1 Droits Audiovisuels

【出演】アンブル、カミーユ、イマド、シャルル、テュデュアル
【監督・脚本】アンヌ=ドフィーヌ・ジュリアン

子どもから何を教わったのか、考えてみた。

 難病を抱えながらも、毎日を楽しく一生懸命に生きる5人の子どもたちの姿を、お母さんのような優しい目線でとらえた、心温まるドキュメンタリー映画だ。

 原題名は「そしてミストラル・ギャニョンを」。1985年にシンガー・ソングライターのルノーが歌ったシャンソンのタイトルである。それは、彼が幼い頃に売っていた伝説のボンボンのことで、歌詞は父親が娘に「ともあれお前に言おう。人生を愛さなきゃならないと」など、人間同士として人生を語るというフランス人のエスプリが効いた歌だ。

 邦題名「子どもが教えてくれたこと」。私がこの映画を観て、何を子どもから教わったのか考えてみた。

 まずは、みんな自分の病気の状況をしっかり把握し、受け入れている事である。親を恨んだり、自分を卑下したり、世の中を呪ったりしていない。悲観したりせず、前向きに伸び伸びと生きている。変えられぬものを恨むより、可能性を信じながら今をパワフルに過ごしているのだ。薬剤を定期的に静注するために、いつも可愛い水色のリュックを背負ったアンブルは言う。「悩みごとは脇に置いておくか、付き合っていくしかないの。」

 重い病気で、あとどれだけ生きられるかわからない子もいる。そういった子に親はどうしていけばいいのか?手術の後遺症で左右の眼の色が違うテュデュアルは言う。「学校に行きたい。ただそれだけなんだ。」子どもの学びたいという欲求を満たしてあげれば、その後は子どもが決めていくのである。選択肢は子どもにあるのだ。

 子どもに難病や障害があったと分かった時の、親の衝撃や戸惑いはいかばかりだろうか。途方に暮れ悩んでしまうかもしれない。神経芽腫を患っているサッカー少年のカミーユは、屈託のない笑顔で言う。「赤ちゃんだった時に、ママが全部説明してくれたよ。」親が子どもの病気や障害を受け入れることが大切なのだ。小さな哲学者たちよ、ありがとう。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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