岐阜新聞 映画部

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松竹大船で受け継がれてきた演出力はプロの技

2018年08月15日

空飛ぶタイヤ

©2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会

【出演】長瀬智也、ディーン・フジオカ、高橋一生、深田恭子、寺脇康文、小池栄子、阿部顕嵐(Love-tune/ジャニーズJr.)、ムロツヨシ、中村蒼
【監督】本木克英

外れたのはタイヤであり、人間のモラル

 テレビドラマでは常に高視聴率を保っている池井戸潤原作の初の映画化である本作は、実直で曲がった事が嫌いな中小企業の社長(長瀬智也)を主役に、敵方には、これぞ悪役という悪党(岸部一徳)と義憤にかられる味方(ディーン・フジオカ)を配し、これでもかという試練を乗り切りながら、最後は大逆転というカタルシスを味わえる、やくざ映画ばりの社会派娯楽映画である。

 松竹のプロパー監督で、良質な娯楽映画をコンスタントに作ってきた本木克英が、気負いなく分かり易く、いつものスピード感ある展開で最後まで一気に見せてくれる。物語に登場する赤松運送、ホープ自動車、ホープ銀行、雑誌社、警察などの組織に、主なキャストだけでも30名近い人数を、混乱することなく見せ場を作りながらさばいていく演出力は、松竹大船で受け継がれてきたプロの技である。

 この映画では、安全を第一に規定以上の品質を守っている中小企業(赤松運送)と、プライドばかりが先行し、消費者の気持ちや安全をないがしろにし、自己保身ばかりの大企業(ホープ自動車)を対比させる。

 1950年代には粗悪品の代名詞だったメイドインジャパンだったが、日本人の生真面目さと器用さが合わさって技術大国と言われるようになり、その品質は世界有数と認められるようになった。それを支えていたのは無数の中小企業であった。それがいつの間にか、コスト削減、効率重視、株主利益が声高に叫ばれ、品質や安全が疎かになってしまった。外れたのはタイヤであるが、人間のモラルが外れたのである。

 本作が、興収15億円・動員120万人の大ヒットとなり、評判もいいのは、弱い者が絶対的な敵に挑み、最後は勝利するという痛快さに加え、真面目に働き地道に努力している者が報われるという、あるべき姿を愚直に描いているからかもしれない。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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