岐阜新聞 映画部

映画にまつわるエトセトラ

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日ロ合作映画及び関連作品のオススメはこれだ!

2022年05月16日

日ロ合作映画のオススメ

©2021パルマと秋田犬製作委員会

ロシアのウクライナ侵攻はNO!しかしロシア映画に罪はない

プーチン政権によるウクライナ侵攻で世界中に反ロ感情が高まっているが、それに便乗したロシア映画や芸術公演の中止・ロシア人に対する嫌がらせなどは行き過ぎであり分断を助長する行為に他ならない。

日本から一番近い外国ロシア(宗谷岬-樺太43km)との共同製作『ハチとパルマの物語』は平和を愛する諸国民の公正と信義の証であり多様性の象徴である。CINEXでその成果をしっかり確かめたい。

そこで今までに観た日ロ合作(日ソ合作を含む)及び関連作品で印象に残る作品をあげてみたい。

『小さい逃亡者』(1966) 戦後初の日ソ合作映画で大映作品。十歳の少年孤児がモスクワにいるという父親を探しに一人で旅に出る話。リュックひとつで線路を歩いたり密林に入ったり、ソ連の優しき人たちに助けられながら旅を続ける。シベリアの風景がとても美しい。日本側の監督は衣笠貞之助が勤めた。

『モスクワわが愛』(1974) 東宝とモスフィルムによる初の日ソ合作映画。単身モスクワに渡った日本人バレリーナ(栗原小巻)とロシア人青年との愛を描く。小巻さんのバレーシーンは美しく華麗で惚れ惚れする。この後も小巻さんはソ連の作曲家と愛し合う新進ピアニストを演じた『白夜の調べ』(1978)、ソ連からポリオワクチンを入手しようと運動した母親を描く『未来への伝言』(1990)と日ソ合作映画の主演が続く。

『デルス・ウザーラ』(1975) 黒澤明監督唯一の外国映画作品。20世紀初頭のシベリアを舞台に探検家と天涯孤独の漁師の友情を描いた壮大な叙事詩。私は黒沢映画はすべて劇場で観ているが、この映画がスタートである。アカデミー賞外国語映画賞受賞。

『太陽』(2006) ロシアの鬼才ソクーロフ監督が、日本の終戦の数日間の「昭和天皇」を描いた作品。ひとりの人間としての「天皇」に迫った力作で、名古屋シネマスコーレでの上映は厳戒態勢であったが内容の良さもあり何事もなく無事終了した。イッセー尾形が「昭和天皇」を演じた。

『ソローキンの見た桜』(2019) 日露戦争時代、ロシア兵を収容した松山の捕虜収容所を舞台に日本人看護師とロシア人将校の恋を描いた感動作。当時は捕虜の取り扱いを定めたハーグ条約を遵守しロシア兵を好待遇で迎えていた。日本側の製作は益田祐美子さん。

ロシアのウクライナ侵攻は許されないことだが、ロシア映画に罪はないのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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