岐阜新聞 映画部

映画にまつわるエトセトラ

Rare film pickup

近日公開のドキュメンタリーによせて

2022年05月19日

『オードリー・ヘプバーン』

© 2020 Salon Audrey Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

ちょっと思い出したオードリーのこと

昔、テレビがブラウン管だった時代。映画の放映はゴールデンタイムを飾る4番バッターだった。番組にはそれぞれ解説者がいて、本編がはじまる前と後にはコメントが入った。

日曜洋画劇場(現・テレビ朝日=メーテレ)は淀川長治、月曜ロードショー(TBS =CBC)は荻昌治、水曜ロードショー(日本テレビ=中京テレビ)は水野晴雄、ゴールデン洋画劇場(フジテレビ=東海テレビ)は高島忠夫が、それぞれ番組の顔となっていた。

映画館で映画を観るという、その後のこだわりとなるような決まり事もなく(あくまでも個人的な意見です)。角の欠けたブラウン管に映し出された映画は、外国人でも日本語を話すという、吹替はあたりまえだった。

テレビ放映された映画で、外国映画という認識をして、初めて観たのは、『子鹿物語』(クラレンス・ブラウン監督/1946年/日本公開49年)だったと記憶している。

とは言え、外国映画に対する敷居は、その後しばらくは高いままだったが、「映画って良いもんですね」と、はっきりと自覚したのは、オードリー・ヘプバーンが主演した『ローマの休日』(ウィリアム・ワイラー監督/1953年/日本公開54年)だった。共演者はグレゴリー・ペック。『子鹿物語』では、父親を演じていた。

『ローマの休日』の初見は、吹替え版で、その時の声優は、オードリーは池田昌子、ペックは城達也。王女と新聞記者のラブロマンス、軽やかでユーモアだっぷりの夢のような物語には、純粋に心酔した。

「映画は俳優で観る」というのは、その取っ掛かりとしてはあたりまえのことで、オードリー・ヘプバーンは、外国人俳優のトップバッターとなった。

昔、東京・新宿の靖国通り沿い、花園神社の近くに、映画グッズを販売している店があった。雑居ビルの1階にあり、店内は商品の雑誌やポスターで埋め尽くされていた。数人のお客が入っただけで、肩がぶつかり合うくらいの狭い店だった。

ある日、その店で何やら物色していた時、ひとりの高校生くらいの男子がやって来て、女性店員さんといきなり会話が始まった。その様子からはその男子が店の常連であること、何かの購入をするために決断して来たのだと、その会話から理解できた。

ちょっと、後づけの記憶の修正があるかも知れない…その時の、女性店員さんとお客の高校生のやり取りは…

店員「決めた?」

高校生「(頷く)」

…くらいの簡単なものだったが、何だか、"高校生の男子は1万円札を握りしめて" とか、粉飾気味の付け足しも可能なほどに、それまでの経緯が不思議とよく推測できた。永く迷った末の決断。

男子高校生が手にしたのはオードリーの主演映画のポスターで『パリの恋人』(スタンリー・ドーネン監督/1957年)だったか?『麗しのサブリナ』(ビリー・ワイルダー監督/1954年)だったか? それはちょっと思い出せない。

CINEXでも近日公開される『オードリー・ヘプバーン』は、ハリウッド黄金期の女優であり、それまでのスターにはなかった、新たな魅力に溢れた女優として、一時代を築いたオードリー・ヘプバーンの半生を追ったドキュメンタリーで、名声に隠れて見えなかった、トラウマの影と、生涯を通して揺るぐことのなかった信念を解き明かし、女優として、妻として、母として生きたひとりの女性としての姿が鮮明に描き出されている。

オードリー・ヘプバーンが特別な存在だった人にも、そうではなかった人にも、あの日の記憶が甦ったり、女性としての生き方に共感できる映画になっている。是非、ご覧いただきたい。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

観てみたい

100%
  • 観たい! (5)
  • 検討する (0)

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

ページトップへ戻る