岐阜新聞 映画部

映画にまつわるエトセトラ

Rare film pickup

スピルバーグが挑む不朽の名作に高まる期待

2022年02月03日

『ウエスト・サイド・ストーリー』が待ち遠しい!

© 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

【出演】アンセル・エルゴート、レイチェル・ゼグラー、アリアナ・デ・ボーズ、マイク・フェイスト、デビット・アルバレス、リタ・モレノ
【監督・製作】スティーブン・スピルバーグ

互角の勝負となるのか、砕け散るのか、超えていくのか?

私が高校2年の1975年6月、豊橋名画座で観た『ウエストサイド物語』(1961)の衝撃は、今も鮮明に覚えている。

高校の英語の女性教師が、「一生の宝になる映画だ」と授業を潰して語りつくしてくれたり、新聞広告で"アカデミー賞10部門受賞"と煽ってくれたり、期待に胸をワクワクさせながら今も交流のある幼馴染のM君と一緒に観に行った。

幕が上がるとユナイトのロゴに被さる口笛の響き、続いてソール・バスが手がける線画のみの画面に合わせ、劇中で歌われるメロディーの数々が演奏される。本編が始まる前に序曲が付く映画は初めての体験だ。目を凝らし耳を澄まして映画に没頭し始める。

映像はマンハッタンの空撮から始まり、やがてウエストサイドの地上のバスケットコートに迫り、対立するジェット団・シャーク団の若者たちを捉える。セリフはほとんどなく音楽と歌とダンスだけ。カメラは、街中を縦横無尽に疾走する彼らの姿を、もの凄いスピード感で追っていく。

こんなにカッコいい圧巻のオープニングから痺れっぱなしで、2時間32分の間中、瞬きするのも忘れるかと思うほどの興奮の連続だった。観終わった直後は放心状態。あまりに濃厚すぎるミュージカルで「これぞ映画だ!」との思いは今でも変わらず、生涯のベストテンを選んだら必ず入れる1本となった。

クラシックを踏まえつつ、ジャズやロック、民族音楽などの要素を含んだバーンスタインの音楽。わかりやすく社会性を含んだソンドハイムの作詞。抑制のきいたリズムと目を見張るようなダイナミックなダンスを振り付けたジェローム・ロビンス。そしてそれらを見事統制し、映画を傑作に仕上げたロバート・ワイズ監督。すべてが完璧だ。

物語は、ポーランド系とプエルトリコ系の不良少年どおしの対立という図式で、移民問題や人種差別・不寛容による分断は、今と同じ構造だ。

ジャニーズ結成のきっかけともなり、日本や世界のショウ・ビジネス界がガラリと変わった不朽の名作を、スピルバーグが60年ぶりにリメイクする!

傑作中の傑作ミュージカルの前に互角の勝負となるのか、砕け散るのか、超えていくのか?

すでに予告編で何度も流れる「トゥナイト」に身震いし、画面に映る街並みやファッションには目を見張る。アメリカの賞レースにも絡んできた。これは期待できるかもしれない。

『ウエスト・サイド・ストーリー』が待ち遠しい!

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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