岐阜新聞 映画部

映画にまつわるエトセトラ

Rare film pickup

心の支えであるミニシアターの苦境を黙って見ているのは心苦しかった

2020年04月13日

がんばろう!ミニシアター

今こそ恩返しの時

 見逃していた韓国映画『冬の小鳥』(キネ旬8位)を浜松のシネマイーラに観に行ったのは、小雪の舞い散る寒い朝だった。家族から捨てられた少女ジニの心と悲しみにうち震えた。

 長い間ソフト化されず、最大の幻の映画であった『黒部の太陽』(キネ旬4位)を初めて観たのは刈谷日劇。不可能と言われた破水帯を突破するシーンでは、本物の凄みに驚愕し感動で涙が出た。

 去年、伊勢進富座で観た上映時間7時間18分の『サタンタンゴ』。2回目の休憩が終わった後、支配人からの「あと一息、頑張りましょう!」の掛け声には、仲間意識を感じた。

 私の映画の主戦場は名古屋。毎月「スコーレサロン」という映画合評会をやれるのもシネマスコーレがあってこそだし、アカデミックな作品は事務所から歩いて行けるシネマテークで間違いなし。名演小劇場では、ちょっとインテリ好みの作品に出合える。

 日比野克彦委員長の下、今年5月の終わりに開催される(であろう)「エンジン01 in 岐阜(ナンヤローネ?ナンカヤローネ!)」で、「守ろう!地元の映画館」というテーマでまちなか講座が開催されるのはロイヤル劇場。昭和の名作を600円でフィルム上映している東海地方唯一の名画座で、私が最も好きである木下惠介監督の『なつかしき笛や太鼓』(キネ旬9位)を初めて観たのはここだ。

 そして、岐阜新聞映画部の本拠地・岐阜柳ケ瀬のCINEX。選りすぐりの新作を年間100本以上上映し、監督や関連する人のトークショーもある。映画人生40数年で今が最も充実していると感じている。

 これらはすべて東海三県のミニシアターである。しかし、新型コロナの影響でどの映画館も相当なピンチになっており、存続の危機を迎えている。そして、いよいよ東京や大阪など7都府県では緊急事態宣言が出され、益々の打撃が予想される。

 今まで映画館で観ることを最大の楽しみにしてきた私にとって、心の支えであったミニシアターが苦境に陥るのを黙って見ているのは心苦しかったが、岐阜新聞映画部イベントに来ていただいたシネマスコーレの坪井さんの報道ステーションでの特集がきっかけとなり、やはり岐阜でトークショーをやっていただいた深田晃司監督や濱口竜介監督らが呼びかけ人である“#Save The Cinema 「ミニシアターを救え!」プロジェクト”が始まった。

 今こそ恩返しの時だ!一緒にがんばろう!ミニシアター。

写真提供:映画館専門サイト「港町キネマ通り」

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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