岐阜新聞 映画部

映画にまつわるエトセトラ

Rare film pickup

日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞おめでとう!

2020年03月09日

日本アカデミー賞と『新聞記者』

©2019『新聞記者』フィルムパートナーズ

【出演】シム・ウンギョン、松坂桃李、本田翼、岡山天音、郭智博、長田成哉、宮野陽名、高橋努、西田尚美、高橋和也、北村有起哉、田中哲司
【監督】藤井道人

日本映画人の気概を見せ、映画は新聞やテレビとは違うと表明した

 日本の主要映画賞は、11月の報知映画賞を皮切りに、日刊スポーツ映画大賞、毎日映画コンクール、ブルーリボン賞、キネマ旬報ベスト・テンと続き、最後は日本アカデミー賞で締めくくる。この中で最も権威があるとされているのはキネ旬ベスト・テンであり、2019年の第1位は『火口のふたり』であった。肉感が画面からほとばしる、刹那的でエロスに溢れる荒井晴彦監督の傑作で、岐阜新聞映画部ベスト・テンでも6位にランクされた。

 そのキネ旬で『新聞記者』がテン外(11位)になった事は衝撃であった。キネ旬読者は3位、日刊は大賞(作品賞)、毎日は優秀賞、ブルーリボンは作品賞候補、そして岐阜新聞映画部ベスト・テンでは3位。

 『新聞記者』に対して、一部で「作為的で稚拙である」という評がある事は知っているが、作品の評価は技術的な巧拙だけでなく、いまを写し取る現代性や作者の自由な発想に基づく先進性なども見ていくべきで、そういう尖がった作品こそ、映画のプロたちは鋭い感覚で発見、評価していくべきなのだ。

 キネ旬ベスト・テンの結果にがっかりしていた私であったが、日本アカデミー賞の思いもしてない予想外の結果に、テレビの前で「オオッ!」と雄たけびをあげてしまった。『新聞記者』がまさかの最優秀作品賞に選出されたのである!

 今まで42回の日本アカデミー賞の最優秀作品賞で、大手制作・配給でなかったのは『ツィゴイネルワイゼン』を含め4本程度しかない。おまけに『新聞記者』は、現実の政治問題に鋭く突っ込み、忖度する官僚や同調圧力が当たり前のマスコミをリアルに描き、現政権を批判する内容である。公開前の番宣はほぼ無く、公開規模も限定されていた。

 そのような作品が受賞するなど、夢にも思っていなかった。勇気を持って主演した松坂桃李君の最優秀主演男優賞はもちろん、最優秀主演女優賞に韓国人のシム・ウンギョンさんが選ばれたのは快挙と言うほかない。発表直後の彼女の涙に、どれほど感動したことか!河村光庸プロデューサーの強い思い、それに呼応した若き藤井道人監督(岐阜新聞映画部監督賞)の才能をはじめ、この映画に関わったすべての人に、おめでとう有難うと言いたい。

 日本アカデミー賞の結果は、多くの新聞やテレビなどが同調圧力で委縮する中で、日本映画人の気概を見せ、映画は違うと表明したのだ。潮目は変わった!日本映画の未来を信じる事ができて嬉しさ一杯だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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