岐阜新聞 映画部

クロストーク

第18回CINEX映画塾『パンとバスと2度目のハツコイ』上映&トークショー

女優

深川麻衣

宣伝プロデューサー

渡辺尊俊

深川麻衣(ふかがわ・まい)

1991年、静岡県生まれ。乃木坂46の初期メンバーとしてグループを牽引し、「乃木坂の聖母」の愛称で親しまれ、国民的人気グループの礎を築いた。人気絶頂の中、俳優業に専念するべく2016年に乃木坂46を卒業。テレビドラマやCM、舞台に出演するなど本格派女優として注目を集める。

渡辺尊俊(わたなべ・たかとし)

映画『パンとバスと2度目のハツコイ』の宣伝プロデューサーとして、深川麻衣さんとともに全国の映画館で舞台挨拶を開催中。

第18回CINEX映画塾『パンとバスと2度目のハツコイ』上映&トークショーが7月1日、岐阜市柳ケ瀬商店街の岐阜CINEXで開催された。ゲストは本作が映画初出演にして初主演となった女優・深川麻衣さん。2月の公開以降、全国30か所以上で舞台挨拶を行うほど根強い人気を誇る本作。北海道から沖縄まで、全国から観客が訪れた今回は、第1部、第2部合わせて90分に及ぶトークショーを開催し、作品の魅力や撮影秘話に迫った。(聞き手は渡辺尊俊宣伝プロデューサー)

渡辺:岐阜に来たのは初めてですか?

深川:岐阜は2回目です。1回目は観光で郡上八幡に来ました。でも、岐阜駅で降りるのは初めてです。

渡辺:今年の2月に公開した作品が、こうしてまだ日本全国で上映されているんですね。

深川:すごくありがたいですね。ドラマなら家で観ることができますが、映画は映画館や会場に足を運んでくださらないと観られないですよね。今日も岐阜だけでなく、他の場所から来てくださっている方もいらっしゃると思いますが、皆さんが足を運んでくださるからこうやって映画上映ができて、舞台挨拶もさせていただけるので幸せだなと思います。

■乃木坂46を卒業して大きく変わったこと

渡辺:乃木坂46を卒業してから、どれくらい経ちましたか?

深川:6月で丸2年経ちました。

渡辺:まだ2年なんですね。

深川:私の中ではもう2年という感じです。卒業して1年経った昨年の6月にこの作品は撮影しました。撮影は2週間ほどでした。

渡辺:卒業してから、気持ちの変化はありましたか?

深川:グループで活動していた時は、メンバーがいると助け合えることがいっぱいあって、お互い補い合うこともできました。ひとりで活動させていただくようになってからは、もっとしっかりしないといけないと思うようになりましたね。それまで気付かなかったダメなところ、足りないところに気付くようになりました。

渡辺:仕事の環境も変わりましたよね?楽屋とかも。

深川:それは一番実感するところかもしれないです。メンバーとバス移動をして、楽屋も一緒で賑やかで、女子クラスみたいでした。ひとりになって最初は寂しかったですが、今は慣れました。仕事もお芝居もさせていただいて、webドラマやひとりで2時間ほどの朗読劇もやらせていただいています。

 

渡辺:女優としての第一歩としては、やはりこの『パンとバスと2度目のハツコイ』ですか?

深川:そうですね。映画に対してずっと憧れがあって、初めて自分の中で1つの夢を叶えていただいたのがこの作品なので、すごく思い入れがあります。

渡辺:役者になりたいというのは、グループにいた頃から周りには話していたんですか?

深川:周りにはあまり言っていなかったんです。本当に一部の人は知っていました。乃木坂46で5年間活動していたんですが、その中でミュージックビデオの撮影や特典映像で個人プロモーションビデオの撮影がありました。監督さんと一対一で撮っていただけるようなものなんですが、この撮影が好きで、撮影していくうちにもっと芝居のお仕事をやっていきたいなと思いました。

渡辺:小さい頃からやりたかったわけじゃないんですね。

深川:芸能のお仕事に興味を持ったのは中学生の時ですが、とてもざっくりした思いでした。同年代の子たちが雑誌やテレビに出ているのを見て、「いいなぁ。自分もこうなりたいなぁ」と思ったのがきっかけです。

渡辺:主演が決まったと聞いて、どう思いましたか?

深川:憧れだったのですごく嬉しかったんですけど、怖さの方が大きかったですね。

■今泉力哉監督の現場

渡辺:そんな思いで入った撮影現場ですが、どんな感じでしたか?

深川:今泉監督とのお仕事も初めてで、今泉監督の世界観を壊してしまったらどうしようと思っていたんですが、監督もスタッフ・キャストの皆さんもあったかくて、いい方ばかりでした。その空気感に助けていただいたと思う部分がたくさんあって、撮影に入ってからは割と気負いせずにできたかなと思います。

渡辺:深川さんが演じた市井ふみはどんな人ですか?

深川:予告編では「こじらせ女子」と言われていましたが、これは誰にでもある要素なんじゃないかと思います。普通の人なら当たり前だと思って考えないことを真面目に考え過ぎちゃう女の子で、手も足も出せなくなってしまう、そんな自分が嫌になっちゃう。そういうところは皆さんにもあるんじゃないかと思います。

渡辺:恋愛映画にある壁ドンのような要素もないんですよね?

深川:まったくないですね。今泉監督の作品は日常をすごく丁寧に切り取っていて、普通に過ごしていたら見過ごしてしまうようなことを、いま一度突き詰めていく。この映画は恋愛要素もあるんですが、恋愛や生活に対する疑問や感じていることに気付かせてくれると思います。

渡辺:市井ふみという人物を作るにあたって、監督とは話し合ったりしたんですか?

深川:本読みの時や撮影の合間に話しました。今泉監督の撮影は、台本の台詞が終わってもカットがかからず撮影が続くことがあります。ふみが妹とじゃれ合うシーンは台本になくて、自然のやり取りで生まれたシーンですね。あとは、クッキーを食べるシーンがあるんですが、これは撮影が始まる直前に今泉監督から「クッキー食べてみて」と指示があったんです。台本にはないことを演じて、それに対して、山下健二郎さん演じる湯浅たもつの生の反応を撮ったという時もありました。

 

トークショーの後半は、岐阜CINEXに設置された深川さんへのメッセージボードや、1回目のトークショーの感想をSNSからピックアップしてトークが展開された。その後、観客からの質問コーナーではたくさんの手が挙がった。

Q.作品にパンが出てきますが、深川さんがこれを食べると落ち着くというものはありますか?

深川:チョコレートが好きで、何種類か常に冷蔵庫にストックしています。落ち着くものというと、飲み物ですが緑茶ですね。静岡県出身なので、実家にいた時によく飲んでいました。緊張するお仕事に向かう朝に落ち着きたくて、温かい緑茶を飲みます。

渡辺:パンは食べないんですか?

深川:食べますよ。家の近くにお気に入りのパン屋さんもあります。

渡辺:朝食はパン派ですか?

深川:朝はごはんかな(笑)。

渡辺:でも、パンは好きなんですね(笑)。深川さんの好きなパンベスト3は?

深川:3位はメロンパン。2位はミルクフランス。フランスパンの中に練乳が入っているものです。1位はクロワッサンですね、これは不動です。2位と3位は入れ替わることはあるんですけど、1位だけは変わらないですね。今泉監督の作品には、食べ物を食べるシーンが出てくるので、観終わった後に食べたくなると言われることもあります。食べるシーンって素が出るので好きだったりします。

Q.初恋はいくつの時ですか?

深川:小学校1年生の時で、6年生までその子をずっと好きでした。その子からもらった消しゴムを、学習机の鍵が1つだけかかる引き出しに大切にしまっていました。

 

その後、深川さんとの2ショットチェキ撮影の権利をかけて、じゃんけん大会を開催。最後には深川さんが客席へ行き、観客の皆さんと一緒に記念撮影を行った。

渡辺:最後に皆さんにメッセージをお願いします。

深川:この映画は、皆さんが自由に想像を膨らませることができる映画になっています。観終わった後に、「自分はこう思う」と話せるところがたくさん出てくると思うので、何回も観ていただいて、楽しんでいただければと思います。今日は本当にありがとうございました。

トークショー終了後、深川さんはメッセージボードに貼られたメッセージをしっかりと読んでいた。

これまでのCINEX映画塾の中で一番年齢層が低かった今回のイベント。若い世代の映画を観て、率直な感想を聞くのが楽しい時間だった。

 

文:涼夏

岐阜市生まれ岐阜市育ち。司会や歌、少し芝居経験も。テレビや映画が大好きでラジオでの映画紹介、舞台挨拶の司会も始める。岐阜発エンタメサイト「Cafe Mirage( http://cafemirage.net/ )」で映画紹介、イベントレポート執筆中。

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