岐阜新聞 映画部

クロストーク

第14回CINEX映画塾
『こいのわ 婚活クルージング』上映&トークショー

映画&コンテンツプロデューサー

益田祐美子

女優

及川奈央

益田祐美子(ますだ・ゆみこ)

岐阜県高山市生まれ。金城学院大学卒業。NHK岐阜・名古屋でニュースや子ども向け番組に出演。女性誌記者を経て、株式会社平成プロジェクトを設立。2003年、日本・イラン合作映画『風の絨毯』を皮切りに映画、テレビ番組などを制作、数々の賞を受賞。

及川奈央(おいかわ・なお)

1981年、広島県出身。
 トーク番組やバラエティ番組、グラビア、ラジオ・ドラマ、映画や舞台などマルチに活躍。主な出演作に映画『シネマの恋』『真白の恋』、ドラマ『龍馬伝』(NHK)などがある。演劇ユニット「類類~Lui Lui~」を結成。 

第14回CINEX映画塾『こいのわ 婚活クルージング』上映&トークショーが12月2日、岐阜CINEXで開催された。ゲストの及川奈央さん(女優)と益田祐美子プロデューサー(高山市出身)は、撮影秘話や次回作への意気込みを披露した。

益田:及川さん、岐阜に来るのは初めてですか?

及川:仕事では来ていますが、ゆっくり来るのは初めてです。劇中に出てくる広島の商店街も素敵なんですが、このあたりの商店街もいいですね。実は、私はこの作品を大きなスクリーンで観ることができなかったので、どんなお芝居をみなさんにお見せしたのかドキドキしています。冒頭から風間さんとのやり取りを撮影したんですが、これが風間さん自身のクランクインの日の最初のシーンでした。

益田:長回しのシーンだったんですが、風間さんが割とセリフを覚えてなくて(笑)

及川:私は劇中で標準語なのでよかったんですが、風間さんは広島弁だから大変だったと思います。でも、風間さんのおかげでとても楽しく芝居ができました。

益田:映画には原作があるのがほとんどですが、この作品には原作がありません。でも、風間さんが演じた役には実在のモデルがいます。パンフレットには名前も出ていますが、この作品のエグゼクティブプロデューサーの福岡さんです。私のプロデューサーとしての一番大きな役割はお金を集めることです。お金がなければ映画は撮れません。福岡さんはお金や資産は持っているけど独身だったんです。余生を一緒に送る人がいない。福岡さんには前作も前々作も出資していただいていましたが、お金を返せるか不安だったんです。「お金を返せなかった時、何を返したらいいですか?」と聞いたら「僕のお嫁さんを探してください」というので、何人か女性を紹介をしたんです。介護もできる人というのも条件になっていて、この話を元に今回の作品ができ上がりました。

益田:ちょうどその時、及川さんがこいのわプロジェクトに関わっていたんですよね。

及川:ちょうどその頃、私は広島県の少子対策課の方たちが企画した婚活プロジェクトの婚活パーティーで司会をしたりしていたんです。益田さんとは違う作品でご一緒したのがご縁でお会いしたときに話をしたら「あら、それちょうどいい!」となって。

益田:エグゼクティブプロデューサーにもお金を出していただいて、製作に意欲的な広島県に企画を提案して実現しました。

及川:益田さんは本当に人と人とを繋ぐプロなんです。

益田:実は及川さんはこの作品を撮り終わった後に結婚したんですよね。(会場から拍手)

及川:そうなんです。ありがとうございます。この作品は自分から一歩踏み出すことが大事と気付かせてくれた作品です。そんなに出会いの場に行ったことはなかったんですが、たまたまお誘いをいくつかいただける機会があって、行ってみようかなと思った一歩がなければ結婚できてないです。あの一歩が大切なんですね。それを気付かせてくれて、この作品には感謝しています。

益田:実は私の娘も一週間前に結婚しまして。親の知らないうちに素敵な旦那様を見つけてきました。私は長女なので、娘に次男坊を連れてきてと常々言っていたんですが、本当に次男を見つけてきました(笑)

及川:本当にこの作品のご縁なんですね。

益田:ご縁と言えば、主題歌を杏里さんにお願いできたのは本当に偶然で。誰かいい人いないかなあと思っていたら、音楽担当プロデューサーの佐野君が杏里さんを紹介してくれて。
実は佐野くんも岐阜市出身で今日来ているので、せっかくだから前に来てください。

~ここで音楽プロデューサー佐野さんが登場。杏里さんへの主題歌オファーの経緯を語ってくれた~

佐野:お話をいただいた当時ちょうど音楽レーベルで働いていまして。結構難しいかなと思った企画だったんですが、監督が金子修介さんという素晴らしい方でしたし、監督を一度杏里さんのライブにお連れしたんです。そこで杏里さんに挨拶して映画の話をしたら、杏里さんがそろそろ主題歌を担当したいなと思っていた頃だったみたいで、受けてくださいました。映像を見せて映画を完成するまであと一週間しかないという状態で、杏里さんはライブをこなしながら寝ないで制作してくださってでき上がりました。

益田:映画作りというのはお金があってもできないんです。人脈。人の結び付きが強くないとできないんです。あとはタイミング。結婚と同じです。

及川:本当にご縁とタイミングですね。

監督は熱狂的な広島カープファン

益田:監督を『DEATH NOTE』の金子修介監督にお願いしようと思ったんです。巨匠と呼ばれる監督はオリジナル脚本から作る作品はなかなか受けていただけないんですけど、実は監督は大の広島カープファンで受けていただけました。及川さんもそうですよね。

及川:はい。広島出身ですから。でも、金子監督は広島出身ではないのにカープファンなんですね。

益田:監督は広島の優勝シーンが撮れなかったら降りると言ってましたが、実は撮影の中でも広島カープの優勝シーンの撮影が一番大変だったんです。まず、肖像権の問題があるからです。観客の顔が映ると撮れませんので、役者以外の観客の方の顔が一部分ぼかされているんですね。カメラが入ると多額の放映権での費用がかかるんですが、広島ホームテレビさんにご協力いただき、広島ホームテレビの放映権を利用させていただいて撮ることができました。それ以外にも上映するためにいろんな協賛をいただきました。

及川:私は撮影の間しか動かないので準備やその後を知らないんですが、プロデューサーさんのお仕事はやっぱり大変ですね。

益田:今は映画を撮るだけならある程度お金があればできますが、公開となるといろんな要素が合わさっているので色々難しいんですよ。

及川:お蔵入りになってしまう映画もありますしね。

益田:ですから、このタイミングで岐阜で上映できたというのもご縁で本当に嬉しいんです。

今回この作品を作った理由

益田:今回この映画を作った理由としては、結婚しない、子供も作らない、未来が見えなくて暗い雰囲気のある日本に、明るく楽しい作品を作りたかったんです。少子化対策に役立てばと考えました。あとは、男性は女性の気持ちがわからない。本当の中に嘘があったり、嘘の中に本当があったり。それを片瀬那奈さん演じるヒロインを通して知って欲しかったんです。女性は愛するものができると強くなる。男性は守るものができると強くなる。このメッセージを金子監督が上手く入れてくださいました。そして、モデルとなった福岡さんにも「お金じゃなくて心なんだよ」と教えてあげたかったというのがあります。

続編はインターナショナル?

益田:この映画は11月11日から広島で先行公開をしていたんですが、公開されてから婚活会社から問い合わせがあることが多くて。「もう一本作ってください。今度は『こいのわ 婚活インターナショナル』でやりましょう。」って言われるんですよ。最近は55歳ぐらいでお金はあるけど結婚できない男性が多いんです。これは日本の女性の理想が高くてダメになってしまうことが多いそうで。なので外国の女性と結婚するんです。風間さんも続編の構想を考えてくださってました。婚活する女性目線の映画にしようって。

及川:女性目線だとまた違った話になるかもしれませんね。

益田:今度は岐阜でロケやりますか?鵜飼船で。

及川:じゃあ、私はドラゴンズカラーの服を着てここを歩きましょうか?

益田:続編はまだわかりませんが、次の作品も楽しみにしてください。

 

文:涼夏

岐阜市生まれ岐阜市育ち。司会や歌、少し芝居経験も。テレビや映画が大好きでラジオでの映画紹介、舞台挨拶の司会も始める。岐阜発エンタメサイト「Cafe Mirage( http://cafemirage.net/ )」で映画紹介、イベントレポート執筆中。

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