岐阜新聞 映画部

クロストーク

『ある町の高い煙突』映画編集・川島章正さんインタビュー

第33回CINEX映画塾『ある町の高い煙突』上映&トークショーが、10月19日(土)に岐阜CINEXで開催されます。ゲストは、本作の編集を務めた川島章正さんと、配給会社エレファントハウスの増田英明さん。

川島さんは『おくりびと』『愛を乞うひと』などで日本アカデミー賞最優秀編集賞を4度受賞した、いわば映画編集のトップランナー。森田芳光、深作欣二、平山秀幸、滝田洋二郎……数々の名監督と作品をともにしてきた川島さんが語る映画編集の仕事とは。「編集は第2の演出」と語る川島さんに、編集の技術や効果について聞きました。

 

 

―編集の仕事とはどんな内容ですか。

川島:映画は、監督の想像をシナリオに起こし、撮影、照明、録音、美術、編集とさまざまな部門の人たちの創造力が加わって作品になります。編集は、監督の発想を具現化する最後の仕事。僕はまず、シナリオ通りに画をつないでいきます。その後、シーンをがらりと入れ替えたりして、「監督の頭にあったのはこれでしょ」と提案しています。

 

―編集でのこだわりは何でしょうか。

川島:映画全体のリズムです。例えば、恋愛映画とサスペンス映画でテンポが違うのは、編集で映画全体のリズムを変えているからなんです。高揚感が出るように画をつないだり、観客が息を吸うタイミングで驚くシーンを差し込んではっとするように。『おくりびと』では、最後にクライマックスを持っていけるよう、監督と相談して他の涙のシーンをカットしました。映画にとってリズムはとても大切なものです。

 

―『ある町の高い煙突』で大切にしたことは?

川島:この映画の上映時間は130分。通常、映画は1時間半ぐらいが効率的とされています。ストーリーだけを見せるのであれば、もっと短い時間に編集できましたが、煙害に苦しむ村人や煙害に挑む人たちの姿をしっかりと伝えるのに必要な時間でした。導入部分では、煙害の背景を理解してもらうためにゆったりとしていますが、物語が展開していくと画のカッティングの長さを変えて、リズムを変えています。

―19日(土)には岐阜CINEXでトークショーが開催されます。

川島:この作品は日立鉱山の立志伝です。人間が生き、文明が発達する過程で、公害や環境破壊の問題は常に問われています。原発問題など現代に通じる普遍的なテーマでもあるので、ぜひ見て欲しいです。

 

 

映画『ある町の高い煙突』の岐阜CINEXでの上映期間は10月19日(土)~11月1日(金)まで。19日(土)には川島章正さん、増田英明さんをゲストに迎えて、上映&トークショーを開催します。詳細はこちら。皆様のご来場をお待ちしております!

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