岐阜新聞 映画部

クロストーク

『斬、』池松壮亮さんインタビュー

昨年11月に公開され、第33回高崎映画祭で最優秀作品賞と最優秀主演男優賞(池松壮亮さん)の2冠に輝いた映画『斬、』で主演を務める俳優の池松壮亮さん(28)が、岐阜新聞映画部のインタビューに応じた。混乱の江戸末期を舞台に、刀で人を斬ることに悩み、葛藤を抱きながら生き抜く浪人役を情感的に演じた。「代表作の1本と言える作品に関われた」と話す池松さんに、作品への思いや役作りについて聞いた。

 

 

ー『鉄男』『野火』などで知られる塚本晋也監督が初めて時代劇を手掛けた。

池松:映画の中で刀を見つめて『何だこれは』というシーンがあるが、あの思いをどう映画にしようかと、構想自体は20年以上前から考えていたと聞いた。撮影のタイミングを見計らい約2年前にお話をいただき、ぜひやりたいと思った。プロット(筋書き)を伺い、早くやりましょうという感じだった。

 

ー「人が斬れるようになりたい」というセリフが印象的だった。人を切ることをためらう侍という難しい役だが、どのような思いで演じたか。

池松:塚本監督はよく、現代の感覚を持った時代劇をやりたかったとおっしゃっている。世界で何かがうごめき、戦争のにおいがしていた時代。混乱や焦り、葛藤、迷いが入り交じる中、慎ましく生きようとしている主人公と、それが爆発する感じが前半と後半で対比として見せられればいいと思った。現代は若者も大人も子どもも自我が求められ、疑うことを信じている。そういう感覚を持ち込んだ。

ー圧倒的な存在感があった。

池松:代表作と言える1本に関われた。人間とは何か、人生とは何かという問いと向き合いながら演じている。見てもらえれば分かると思う。

 

ー撮影時のエピソードは。

池松:山形県にある時代劇のセットで撮影していたが、北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けてJアラート(全国瞬時警報システム)が鳴った時がある。刀を人を切る道具にしまっていることに悩む浪人の物語を撮っている上を、さらに大きな鉄の塊が飛んでいった。見えない力が、この映画をつくらせている感じがした。

ー2月2日には岐阜市でトークショーが開催されます。

池松:岐阜出身の仕事仲間がおり、柔らかい人が多い印象がある。ぜひ行ってみたい。

 

ー最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。

池松:時代の変わり目に残さないといけない映画ができあがった。見てもらえれば何かを感じてもらえると信じている。今、それが分からなくても、何かが心に引っ掛かっていて、数年後に分かるかもしれない。後悔をさせない自信があるのでぜひ見てほしい。

 

 

映画『斬、』は2月2日(土)~15日(金)、岐阜CINEXで上映予定。2日(土)には池松壮亮さん、塚本晋也監督をゲストに迎えて、上映&トークショーを開催予定。詳細は<コチラ>。皆様のご来場をお待ちしております!

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