岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏 B! 美術館の舞台裏を、ギリギリまで捉えたドキュメンタリー 2023年09月04日 わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏 ©大墻敦 【監督・製作・撮影・録音・編集】大墻敦 美術館の予算が半分に!現実はこうだ 美術館そのものに焦点をあてた映画では、まずは『パリ・ルーヴル美術館の秘密』(1990/日本公開2003)がある。1980年代の大改修時に撮影が開始され、巨大絵画の移動と展示、作品の修復や展示方法を検討する学芸員をはじめ、警備員や清掃員、庭師を含むルーヴルを支える人々の姿を映し出した画期的なドキュメンタリー映画だった。 ここ数年では、2019年12月の第7回アートサロン『ゴッホとヘレーネの森 クレラー=ミュラー美術館の至宝』(2018)や、2020年8月の第9回アートサロン『プラド美術館 驚異のコレクション』(2019)があり、両方とも岐阜県美術館学芸員の松岡未紗さんのトークショーで映画を2倍楽しめた。 『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』は、美術館そのものにスポットをあてた映画としては、おそらく日本で初めてのドキュメンタリーだ。 監督の大墻敦さんは、一橋大学を卒業後NHKへ入局して、長らく教養番組やドキュメンタリーなどのテレビ番組の製作をしてきた方で、美術番組も手がけていたとのこと。テレビは基本的に放映が終われば終了なので、不特定多数の視聴者のためにはナレーションやキャプションを入れてわかりやすくするが、劇場用映画は、説明的な部分を排する編集で観客のイマジネーションに委ねられ、別の面白さがあるとのことだ。確かに本作は、NHKのアートドキュメンタリーとは一線を画している。 第17回アートサロンのゲスト、岐阜県美術館学芸員の廣江泰孝さんもおっしゃっていたが、「ここまでの舞台裏を映しているんだと驚いた。出てくる人がみんな知り合いなので、仕事の様子がよくわかる」という内容だ。 個人的には、予算が最盛期の半分に削られていることや、展覧会はマスメディアが関わらなければ一切出来ない現実には、憤りを通り越して絶望感しかない。国は税金を文化に回すべきである。 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 100% 観たい! (6)検討する (0) 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 2024年05月17日 / 一月の声に歓びを刻め 三島有紀子監督が、自分自身と向き合った自伝的映画 2024年05月17日 / 一月の声に歓びを刻め 自らの体験を反映させた三島有紀子監督の渾身作 2024年05月17日 / マリア 怒りの娘 11歳の少女の眼に映る現在のニカラグア more 2020年12月09日 / 第七藝術劇場(大阪府) ディープな街、十三にある個性派ミニシアター 2020年02月19日 / 笠間ポレポレホール(茨城県) 休日の朝、家族揃って映画を観る…そんな街の映画館 2023年09月13日 / Stranger(東京都) 好きな映画を語り合える東京下町のミニシアター。 more
美術館の予算が半分に!現実はこうだ
美術館そのものに焦点をあてた映画では、まずは『パリ・ルーヴル美術館の秘密』(1990/日本公開2003)がある。1980年代の大改修時に撮影が開始され、巨大絵画の移動と展示、作品の修復や展示方法を検討する学芸員をはじめ、警備員や清掃員、庭師を含むルーヴルを支える人々の姿を映し出した画期的なドキュメンタリー映画だった。
ここ数年では、2019年12月の第7回アートサロン『ゴッホとヘレーネの森 クレラー=ミュラー美術館の至宝』(2018)や、2020年8月の第9回アートサロン『プラド美術館 驚異のコレクション』(2019)があり、両方とも岐阜県美術館学芸員の松岡未紗さんのトークショーで映画を2倍楽しめた。
『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』は、美術館そのものにスポットをあてた映画としては、おそらく日本で初めてのドキュメンタリーだ。
監督の大墻敦さんは、一橋大学を卒業後NHKへ入局して、長らく教養番組やドキュメンタリーなどのテレビ番組の製作をしてきた方で、美術番組も手がけていたとのこと。テレビは基本的に放映が終われば終了なので、不特定多数の視聴者のためにはナレーションやキャプションを入れてわかりやすくするが、劇場用映画は、説明的な部分を排する編集で観客のイマジネーションに委ねられ、別の面白さがあるとのことだ。確かに本作は、NHKのアートドキュメンタリーとは一線を画している。
第17回アートサロンのゲスト、岐阜県美術館学芸員の廣江泰孝さんもおっしゃっていたが、「ここまでの舞台裏を映しているんだと驚いた。出てくる人がみんな知り合いなので、仕事の様子がよくわかる」という内容だ。
個人的には、予算が最盛期の半分に削られていることや、展覧会はマスメディアが関わらなければ一切出来ない現実には、憤りを通り越して絶望感しかない。国は税金を文化に回すべきである。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。