岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品ウエスト・サイド・ストーリー B! 名作ミュージカルのリメイク 2022年02月16日 ウエスト・サイド・ストーリー © 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved. 【出演】アンセル・エルゴート、レイチェル・ゼグラー、アリアナ・デ・ボーズ、マイク・フェイスト、デビット・アルバレス、リタ・モレノ 【監督・製作】スティーブン・スピルバーグ "トゥナイト"を口ずさみ指パッチンでスキップする=身体に染み込む映画体験 『ウエスト・サイド物語』は日本では昭和36年の年末に封切された。興行は翌々年の5月まで続き、実に551日のロングランとなった。第34回のアカデミー賞では、作品賞、監督賞をはじめ10部門で受賞している。アメリカを代表するミュージカルであり、劇中で使用された歌曲は、映画は観ていなくても、どこかで耳にしているであろう名曲が並ぶ。 監督はロバート・ワイズとジェローム・ロビンズの共同。ロバート・ワイズはのちに『サウンド・オブ・ミュージック』(65年)を監督する名監督だが、ジェローム・ロビンズは、舞台畑の出身で、57年に公演が始まった舞台版「ウエスト・サイド・ストーリー」の演出と振付を担当している。スクリーンから溢れ出るような躍動感と、大胆でありながら見事に調和する群舞はロビンズの功績であると言っても過言ではない。 物語は1950年代のアメリカ・ニューヨーク、マンハッタンのウエスト・サイドが舞台。そこは希望の地を目指して集まってきた移民たちが生活してきた街。今、再開発の計画が進行し、取り壊しの始まった一部は廃墟化している。 そこを縄張りとするアイルランド、ユダヤ人系のグループ "ジェット団" と、スペイン語を話すプエルトリコ系の ”シャーク団" は、激しく対立し、一触即発の状態にあった。 そんなある夜、ダンスパーティーの会場で、ジェット団の元リーダー・トニー(アンセル・エゴート)と、シャーク団のリーダー・ベルナルドの妹マリア(レイチェル・ゼグラー)は、互いに一目惚れの恋に落ちる。 シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を基にしており、その悲劇の構図は貫かれる。同じ移民でありながら、いがみあわなければならない差別と分断。それは、現在もアメリカ社会の中にある。 アーサー・ローレンツの脚本、レナード・バーンスタインの音楽、スクリーンからはみ出す躍動感溢れる振付も含めて、微細な変更はあるが、オリジナル版への熱いリスペクトのもと、ほぼ踏襲されている。 敢えて、名作ミュージカルのリメイクという難関に挑み、独自の心理描写を加え物語に膨らみを持たせたスピルバーグの演出に拍手を贈りたい。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (16)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年05月01日 / コットンテール 愛妻の遺言をかなえる旅を描いた英日合作 2024年05月01日 / コットンテール 最愛の人の遺言を叶えるための旅の物語 2024年05月01日 / コットンテール 湖水地方の風景が美しい、父と子との再生の映画 more 2020年04月01日 / シネポート CINEPORT(宮崎県) 宮崎と鹿児島の県境にある街にひとつの映画館 2019年10月16日 / シネマ・ジャック&ベティ(神奈川県) 戦後からハマの映画ファンを唸らせ続けた双子の映画館 2021年05月26日 / 【思い出の映画館】銚子セントラル(千葉県) ドラマ『港町純情シネマ』の舞台となった映画館 more
"トゥナイト"を口ずさみ指パッチンでスキップする=身体に染み込む映画体験
『ウエスト・サイド物語』は日本では昭和36年の年末に封切された。興行は翌々年の5月まで続き、実に551日のロングランとなった。第34回のアカデミー賞では、作品賞、監督賞をはじめ10部門で受賞している。アメリカを代表するミュージカルであり、劇中で使用された歌曲は、映画は観ていなくても、どこかで耳にしているであろう名曲が並ぶ。
監督はロバート・ワイズとジェローム・ロビンズの共同。ロバート・ワイズはのちに『サウンド・オブ・ミュージック』(65年)を監督する名監督だが、ジェローム・ロビンズは、舞台畑の出身で、57年に公演が始まった舞台版「ウエスト・サイド・ストーリー」の演出と振付を担当している。スクリーンから溢れ出るような躍動感と、大胆でありながら見事に調和する群舞はロビンズの功績であると言っても過言ではない。
物語は1950年代のアメリカ・ニューヨーク、マンハッタンのウエスト・サイドが舞台。そこは希望の地を目指して集まってきた移民たちが生活してきた街。今、再開発の計画が進行し、取り壊しの始まった一部は廃墟化している。
そこを縄張りとするアイルランド、ユダヤ人系のグループ "ジェット団" と、スペイン語を話すプエルトリコ系の ”シャーク団" は、激しく対立し、一触即発の状態にあった。
そんなある夜、ダンスパーティーの会場で、ジェット団の元リーダー・トニー(アンセル・エゴート)と、シャーク団のリーダー・ベルナルドの妹マリア(レイチェル・ゼグラー)は、互いに一目惚れの恋に落ちる。
シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を基にしており、その悲劇の構図は貫かれる。同じ移民でありながら、いがみあわなければならない差別と分断。それは、現在もアメリカ社会の中にある。
アーサー・ローレンツの脚本、レナード・バーンスタインの音楽、スクリーンからはみ出す躍動感溢れる振付も含めて、微細な変更はあるが、オリジナル版への熱いリスペクトのもと、ほぼ踏襲されている。
敢えて、名作ミュージカルのリメイクという難関に挑み、独自の心理描写を加え物語に膨らみを持たせたスピルバーグの演出に拍手を贈りたい。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。