岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品彼女がその名を知らない鳥たち B! ダメ男とダメ女の心に沁みる傑作恋愛映画 2018年01月22日 彼女がその名を知らない鳥たち ©2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会 【出演】 蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、村川絵梨、赤堀雅秋、赤澤ムック、中嶋しゅう、竹野内豊 【監督】白石和彌 白石監督の巧みな演出に俳優陣が応えた傑作 2017年 第91回キネマ旬報ベスト・テンの日本映画第9位に入賞し、蒼井優が主演女優賞を受賞した『彼女がその名を知らない鳥たち』は、いま最も期待される映画監督の一人である白石和彌監督の最高傑作です。 この映画は、人間の愚かしさを容赦なく描いています。才能のない監督が撮れば、単にバカな奴らの愚かなお話として、醒めた受け取られ方しかされないでしょう。ところがこの作品では、バカがつくほど惚れっぽい騙されやすい女も、その女に邪険にされながらも献身的な愛を捧げる男も、最後には愛しく思えてくるのです。三面記事にありそうな安っぽい事件が、突き放せないインパクトで迫ってきます。特に、フラッシュバック(回想シーンの挿入)を巧みに使ったクライマックスは絶品です。 阿部サダヲはこれまでで最高のはまり役であり、蒼井優は「家族はつらいよ」シリーズとは真逆のキャラクターを自然に演じ、女優としての潜在能力の高さを見せつけるほどの素晴らしい演技をしています。 白石監督は、『凶悪』、『日本で一番悪い奴ら』など、犯罪に手を染めてしまう愚かな人間、弱い人間を好んで描いています。しかし、作品それぞれにタッチは異なり、演出の引き出しはかなり豊富に感じられます。今後の活躍がますます楽しみな映画作家です。 『彼女がその名を知らない鳥たち』は全国で絶賛公開中、岐阜CINEXでは1/26(金)まで公開予定。 語り手:井上 章映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。 100% 観たい! (5)検討する (0) 語り手:井上 章映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。 2024年09月26日 / どら平太 日本映画黄金時代を彷彿とさせる盛りだくさんの時代劇 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 助けを求める人はもはや敵ではなく、ただの人間だ 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 海の男たちが下す決断を描くヒューマンドラマ more 2018年04月04日 / テアトルサンク(福井県) 映画愛に満ち溢れたロビーで、自然と気分も高まる 2019年04月24日 / 高知あたご劇場(高知県) 高知市内に創業当時の姿で映画の火を灯す 2021年06月23日 / 【思い出の映画館】シアターホームラン(埼玉県) 小江戸・川越で映画の灯を守り続けた老舗劇場 more
白石監督の巧みな演出に俳優陣が応えた傑作
2017年 第91回キネマ旬報ベスト・テンの日本映画第9位に入賞し、蒼井優が主演女優賞を受賞した『彼女がその名を知らない鳥たち』は、いま最も期待される映画監督の一人である白石和彌監督の最高傑作です。
この映画は、人間の愚かしさを容赦なく描いています。才能のない監督が撮れば、単にバカな奴らの愚かなお話として、醒めた受け取られ方しかされないでしょう。ところがこの作品では、バカがつくほど惚れっぽい騙されやすい女も、その女に邪険にされながらも献身的な愛を捧げる男も、最後には愛しく思えてくるのです。三面記事にありそうな安っぽい事件が、突き放せないインパクトで迫ってきます。特に、フラッシュバック(回想シーンの挿入)を巧みに使ったクライマックスは絶品です。
阿部サダヲはこれまでで最高のはまり役であり、蒼井優は「家族はつらいよ」シリーズとは真逆のキャラクターを自然に演じ、女優としての潜在能力の高さを見せつけるほどの素晴らしい演技をしています。
白石監督は、『凶悪』、『日本で一番悪い奴ら』など、犯罪に手を染めてしまう愚かな人間、弱い人間を好んで描いています。しかし、作品それぞれにタッチは異なり、演出の引き出しはかなり豊富に感じられます。今後の活躍がますます楽しみな映画作家です。
『彼女がその名を知らない鳥たち』は全国で絶賛公開中、岐阜CINEXでは1/26(金)まで公開予定。
語り手:井上 章
映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。
語り手:井上 章
映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。