岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品クローゼット B! 孤独な人と寄り添う人を描いた不思議な映画 2021年01月18日 クローゼット © 2020映画「クローゼット」製作委員会 【出演】三濃川陽介、栗林藍希、新井郁、尾関伸次、永嶋柊吾、篠田諒、中村祐美子、宮下かな子、中込佐知子、渡部遼介、水島麻理奈、門下秀太郎、工藤孝生、碓井玲菜、安野澄、枝川吉範、井上賢嗣、白畑真逸、青柳尊哉、飛磨、正木佐和、草村礼子、渡辺いっけい 【監督】進藤丈広 添い寝屋に何を求めて人は集うのか? 人には幾つかの欲望がある。例えば、風俗は性欲のはけ口となるが、その形態はさまざまで、欲望の形に順応している。一見、単純な発散で完結しているようにも思えるが、人の欲望は複雑で、時に、希求の行き先は別の方向にずれることがある。 神野佑(三濃川陽介)は、交通事故が原因で"男性機能"を失う。それは単純な欲望の断念を意味すること以上に、人生のこれから、未来、将来を限定させてしまう。絶望と諦めの繰り返しは、完結したくてもさせてくれない闇へ誘う。 神野がたどり着くのは、"添い寝屋"という不思議な居場所だった。 この"添い寝屋"は、風俗として実在する。呼称に"添い寝"がついていることで、ソフトなイメージを感じさせるが、実状はさまざまであることが多い。その発生は、一時、盛況を呈した"イメクラ=イメージ・クラブ"からの発展系かも知れない。 妄想というのは複雑で、時に怪奇で、常識とかでは括りきれるものではない。 "添い寝屋"には、10代の若者から、70歳を超えた老人までの男女がやって来る。場所に来ることで、そこには客という存在が成立しているわけだが、受け入れる側の接待は、一様であるはずもなく、ある種の戸惑いが生まれる。 狭い空間=個室に人と人が対峙することで何が起こるのか?状況を突発=ハプニングとすれば、この人間関係はスリリングである。 『クローゼット』は、そういう出会いによって、人はどうして、どう変わり得るのかを描いた映画である。 人は初対面の知らない他人にどれだけ自分をさらけ出すことが可能なのか?設定上の違和感は、この単純な疑問で増殖される。添い寝によって、他人の体温を感じる行為は、その助力になるのか? 添い寝屋にやっ来る人は、圧倒的な孤独を抱えている。相対する最小限の面と迎える相手を求める。接する行為は、体の接近に限らず、感情のぶつかり合いによって変わる。解決など求めない。 映画は微妙なところに触れてはいるが、違和感が拭えることはないのが少し残念だ。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (13)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年05月01日 / コットンテール 愛妻の遺言をかなえる旅を描いた英日合作 2024年05月01日 / コットンテール 最愛の人の遺言を叶えるための旅の物語 2024年05月01日 / コットンテール 湖水地方の風景が美しい、父と子との再生の映画 more 2021年01月19日 / 下高井戸シネマ(東京都) 住宅街の中…マンションの2階にある映画館 2023年07月26日 / セントラルシネマ宮崎(宮崎県) 九州の老舗映画館が新しい映像体験を送り続ける。 2022年03月09日 / シネマ・チュプキ・タバタ(東京都) 体を包み込む音にこだわったバリアフリー映画館 more
添い寝屋に何を求めて人は集うのか?
人には幾つかの欲望がある。例えば、風俗は性欲のはけ口となるが、その形態はさまざまで、欲望の形に順応している。一見、単純な発散で完結しているようにも思えるが、人の欲望は複雑で、時に、希求の行き先は別の方向にずれることがある。
神野佑(三濃川陽介)は、交通事故が原因で"男性機能"を失う。それは単純な欲望の断念を意味すること以上に、人生のこれから、未来、将来を限定させてしまう。絶望と諦めの繰り返しは、完結したくてもさせてくれない闇へ誘う。
神野がたどり着くのは、"添い寝屋"という不思議な居場所だった。
この"添い寝屋"は、風俗として実在する。呼称に"添い寝"がついていることで、ソフトなイメージを感じさせるが、実状はさまざまであることが多い。その発生は、一時、盛況を呈した"イメクラ=イメージ・クラブ"からの発展系かも知れない。
妄想というのは複雑で、時に怪奇で、常識とかでは括りきれるものではない。
"添い寝屋"には、10代の若者から、70歳を超えた老人までの男女がやって来る。場所に来ることで、そこには客という存在が成立しているわけだが、受け入れる側の接待は、一様であるはずもなく、ある種の戸惑いが生まれる。
狭い空間=個室に人と人が対峙することで何が起こるのか?状況を突発=ハプニングとすれば、この人間関係はスリリングである。
『クローゼット』は、そういう出会いによって、人はどうして、どう変わり得るのかを描いた映画である。
人は初対面の知らない他人にどれだけ自分をさらけ出すことが可能なのか?設定上の違和感は、この単純な疑問で増殖される。添い寝によって、他人の体温を感じる行為は、その助力になるのか?
添い寝屋にやっ来る人は、圧倒的な孤独を抱えている。相対する最小限の面と迎える相手を求める。接する行為は、体の接近に限らず、感情のぶつかり合いによって変わる。解決など求めない。
映画は微妙なところに触れてはいるが、違和感が拭えることはないのが少し残念だ。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。