岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

都会の片隅に集う人たちを見つめた群像劇の佳作

2021年01月07日

ニューヨーク 親切なロシア料理店

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【出演】ゾーイ・カザン、アンドレア・ライズボロー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、タハール・ラヒム、ジェイ・バルチェル、ビル・ナイ ほか
【監督・脚本】ロネ・シェルフィグ

ガイドブックにのらないロシア料理店でもきっと行きたくなる

 ニューヨーク・マンハッタンの片隅にある老舗のロシア料理店ウィンター・パレス。アンティークな装飾に彩られた店内だが、それも古びて侘しく見える。とても繁盛しているようには見えない。どこからともなく、料理の味を揶揄する声が聞こえる。

 まばらな客のひと組にマーク(タハール・ラヒム)と友人の弁護士のジョン(ジェイ・バルチェル)が祝杯をあげている。静かな祝宴はマークの出所祝いだった。

 常連客のアリスは近くの病院の看護師。忙しい救命の仕事に精神的には追い込まれていた。それから逃れるように、看護服のままコートを羽織って店に駆け込んで来る。

 そんなアリスに接客する支配人のティモフェイ(ビル・ナイ)は、ロシア語訛りの上品な老紳士に見えるが、それはオーナーからの命令で移民を装っているのだった。

 ジェフ(ケイブ・ランドリー・ジョーンズ)は、人一倍マイペースで、職場ではなかなか順応できない。職を転々とするうち、家賃の滞納により、アパートを追い出され、宿無しになってしまう。

 深夜、クララ(ゾーイ・カザン)は、そっとベッドをぬけだすと、2人の息子を連れて家を飛び出し、車でニューヨークへ向かう。その様子からは切迫した訳ありうかがわれる。行き場もなく、彷徨った末に、親子がたどり着いたのは、ウィンター・パレスだった。

 薬物やアルコール依存を抱えた人たち。ホームレス難民。DVに直面する人。それに積極的に関わり救いの手を差しのべる人。痛みを共有できる人。それぞれがそれぞれの苦難を抱えた登場人物たち。『ニューヨーク 親切なロシア料理店』は、そんな人たちが、不思議な運命の糸に結ばれて店に集い展開する、素敵な群像劇になっている。

 監督のロネ・シェルフィグは、デンマーク出身の女性だが、ニューヨークを見つめる視線に、異邦人としての客観性が鋭く活かされている。華やかな街の喧騒の陰で、不器用に生きる市井の人たちを見つめる視線はどこまでも優しい。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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