岐阜新聞 映画部

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ジェーン・カンピオン監督の最高傑作、完璧な作品

2024年04月24日

ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター

©1992 JAN CHAPMAN PRODUCTIONS&CIBY 2000

【出演】ホリー・ハンター、ハーヴェイ・カイテル、サム・ニール、アンナ・パキン
【監督・脚本】ジェーン・カンピオン

ピアノは、口の代わりであり感情表現の手段

カンヌ映画祭のパルム・ドールに輝き、アカデミー賞脚本賞・主演女優賞・助演女優賞を受賞した『ピアノ・レッスン』(1993)が、フランス映画社の配給で日本で公開されたのは1994年だ。名古屋では同年6月に毎日地下劇場で封切られ、私もリアルタイムで観ている。映画マニア的には鳴り物入りの公開で、私も深い感銘を受け余韻に酔いしれたものだ。

本作のジェーン・カンピオン監督は、ニュージーランドの自叙伝作家ジャネット・フレームを描いた長編2作目『エンジェル・アット・マイ・テーブル』(1990/ベネチア映画祭審査員特別賞/キネ旬10位)ですでに名声を得ていたが、『ピアノ・レッスン』でそれを不動のものとした。日本での評価も高くキネ旬ベストテンでは、『さらば、わが愛 覇王別姫』を抑えて1位に選出され、配収も5億円を超えるヒットとなった。

30年ぶりに再見したが、完璧な作品というイメージに変わりはなく、むしろ私が年齢を重ねた分だけより理解が深まったように思う。ジェーン・カンピオン監督の最高傑作であることは間違いない。

19世紀半ば、スコットランドから“辺境の地”ニュージーランドに嫁いできた緘黙症(かんもくしょう=口を閉じて何も喋らない障害)のエイダ(ホリー・ハンター)と娘のフロラ(アンナ・パキン)。一緒に運んできた1台のピアノは、エイダにとって口の代わりであり感情表現の手段だ。

そのピアノの大切さを理解しない新しい夫のスチュアート(サム・ニール)と、ピアノがエイダと一体化していることをすぐに見抜く、先住民との通訳を務めるベインズ(ハーヴェイ・カイテル)。エイダがべインズに魅かれるのは必然であり官能的なシーンを迎える。

この対比に加え母をべインズにとられてしまうのが心配なフロラの感情と行動が絡んできて、物語は魂の深奥に進んでいく。

観てない人は是非劇場で観て欲しい必見の傑作だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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