岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

オーストラリア発バレエ舞台の成長物語

2024年04月24日

RED SHOES/レッド・シューズ

© 2023 One Tree Productions

【出演】ジュリエット・ドハーティ、ローレン・エスポジート、ジョエル・バーク、キャロリン・ボック、プリムローズ・カーン、ニコラス・アンドリアナコス、ミエッタ・ホワイト、アシュリー・ロス
【監督】ジェシー・エイハーン、ジョアンヌ・サミュエル

ソロの大胆さと群舞の調和が舞台に映える

『赤い靴』(マイケル・パウエル.エメリック・プレスバーガー監督/1948年/日本公開50年)はバレエ映画の名作。

バレエの名門学校で学ぶサムは、プリマを務める「赤い靴」の公演直前に、ライバルであり最愛の姉を事故で亡くしてしまう。そのショックから、公演に穴を空け、それ以来、自暴自棄の日々を過ごすようになっていた。

ある日、悪友とふざけ半分で犯した万引きで逮捕され、社会奉仕活動の判決が下る。

そしてその場所は、両親と周囲の画策で、秘密裡にバレエ学校に指定されてしまう。

バレエ学校のかつての仲間たちには、帰還を歓迎する者や反発する者たちが同居する。素直になれないサムも、簡単には元の鞘には収まることも出来ず、鬱屈とした日々が続くが、サムのバレエへの情熱は完全には消えていなかった。

少しづつ、復活への手探りが始まる。

監督はドキュメンタリーを手掛けてきたジェシー・エイハーンの初長編作となる。バレエの練習風景のスケッチ描写や、舞台公演の臨場感でその手腕が示される。

サムを演じるジュリエット・ドハーティをはじめ、ライバルのグレイシーを演じるプリムローズ・カーン、ダンスパートナーのベンのジョエル・バークは、バレエ・コンクールで実績のあるダンサーで、バレエシーンは役者自身が踊っている。

また、共同監督として『マッドマックス』(ジョージ・ミラー監督/1979年)で、メル・ギブソン演じる主役マックスの妻を演じたジョアンナヌ・サミュエルが名を連ね、バレエに重点を置いたキャスティングの、演技部分を補う演出を担っている。

親の願い、ライバルやパートナーダンサーや師の優しい気持ちに背中を押され、再びステージに立つ回復と成長の物語は清々しいが、欲を言えば平板な進行と言えなくもない。

しかし、幻想的な舞台を再現したバレエシーン、力強さと繊細な美しさは絶品で、些細な指摘を余分な戯言と忘れさせてくれる。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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