岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

多国籍家族のケッサク騒動記

2020年05月29日

最高の花婿 アンコール

© 2018 LES FILMS DU PREMIER - LES FILMS DU 24 - TF1 FILMS PRODUCTION

【出演】クリスチャン・クラヴィエ、シャンタル・ロビー、メディ・サドゥアン、アリ・アビタン、フレデリック・チョウ、ヌーム・ディアワラ、フレデリック・ベル、ジュリア・ピアトン、エミリー・カーン、エロディー・フォンタン、パスカル・ンゾンジ、サリマタ・カマテ
【監督・脚本】フィリップ・ドゥ・ショーヴロン

差別を笑うには真実を知ることが必要

 『最高の花婿 アンコール』は、その題名に続とかpart2とかいう表記はないが、2016年に公開された『最高の花婿』の続編となる。

 フランス中部のロワールに住むヴェルヌイユ家の4人の娘には、アラブ人、ユダヤ人、中国人、コートジボワール人の結婚相手がいる。グローバル社会を見事に体現する多国籍家族である。

 前作では上の3人の娘は既に多国籍婿と結婚していて、新たに末娘が結婚相手を連れてくる。ヴェルヌイユ家の当主クロードは敬虔なカトリック教徒で、ドゴール主義者でもある。これはごりごりの保守的な考え方の持ち主である事を意味するから、肌の色も生活習慣も、信じる神も違う婿たちの乱入には、激しい抵抗があった。その葛藤の中、末娘が連れてくるのはコートジボワール人の花婿だった。当初は『ヴェルヌイユ家の結婚狂騒曲』のタイトルで上映されたが、その通りの擦ったもんだを描いている。

 本作はその後日談で、嵐の後、表面上は穏やかで、末娘は待望の子供の誕生を控え、自らも定年退職となるクロードは、娘婿たちの実家を訪ねる夫婦旅行の準備で忙しくしているが、ただひとつの希望は穏やかな老後だった。

 一方、4人の婿たちは、普通の生活でも感じる異文化ハラスメントに悩まされ、それは耐えられないレベルにあった。そして、それぞれがフランスからの脱出移住を画策していた。

 クロード夫婦の帰国後、家族が集合して旅の報告会が行われる。悪気はないのだが、クロード夫婦の国評は酷評に近く、素直な評価にもトゲがある。娘婿である義兄弟たちにも、それぞれの母国に対する偏見が露呈する。

 娘夫婦たちの移住計画を阻止すべく、クロード夫婦はパリにはない田舎暮らしの素晴らしさをアピールして、婿たちをロワール周遊で接待するのだが…。

 今のご時世にはそぐわない、危ない内容も孕みつつ展開する小気味の良い台詞のかけ合いは、フランスコメディらしくエスプリが効いている。あまり深く考えず愉しむことをお薦めする。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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