岐阜新聞 映画部

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Meet somewhere

「これぞ韓国映画」みたいなアクションコメディ

2020年03月06日

エクストリーム・ジョブ

©2019 CJ ENM CORPORATION, HAEGRIMM PICTURES. CO., Ltd ALL RIGHTS RESERVED

【出演】リュ・スンリョン、イ・ハニ、チン・ソンギュ、イ・ドンフィ、コンミョン、シン・ハギュン、オ・ジョンセ
【監督】イ・ビョンホン

テキパキしたアクションが映画にメリハリを与えている

 92年に及ぶアカデミー賞の歴史の中で、韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が史上初めて外国語映画として作品賞に輝いたのは快挙であり、私に日本映画もいつかはと思わせつつ、羨望と嬉しさを呼び起こした。

 本作は、韓国でこの歴史的傑作を上回る1,600万人超という歴代トップクラスの動員を誇る、「これぞ韓国映画」みたいなアクションコメディである。

 韓国コメディを観ていて時折感じるのが、日本の新劇風アマチュア演劇によくある「オーバーアクション」と「わざとらしさ」である。悪いとは言わないが気恥ずかしい部分がある。この『エクストリーム・ジョブ』も、そういった伝統を踏襲しており、繰り出されるギャグは半笑いになってしまうのだが、これは好みの問題だ。

 ギャグに大笑いできなくても、シチュエーションの奇想天外さとストーリーの意外性は面白い。麻薬組織のアジトの前で張り込みするのに、解散寸前のポンコツ麻薬捜査チームが考え出したのは、真ん前のチキン店を買い取って店員になる事。捜査ではいつも失敗ばかりなのに、逆にお店は大繁盛してしまう。韓国ではフライドチキンがソウルフードになっているらしく、日本人の観光ルートになってしまうのがバカにおかしい。

 また、5人の刑事のキャラが立っているのも、コメディの王道を外していない。ヒトはいいがちょっと間抜けなコ班長(リュ・スンリョン)。実は一番強かったりする紅一点チャン刑事(イ・ハニ)。ミシュラン級のチキンを揚げるマ刑事(チン・ソンギュ)。一人冷静なヨンホ刑事(イ・ドンフィ)。暴走気味の若き刑事ジェフン(コンミョン)。役柄が明確であるのは誰かに感情移入がしやすく、韓国での大ヒットに繋がったのだと思う。

 さらに、韓国の俳優は徴兵によって鍛えられているのか、身体がよくて動作が機敏。テキパキしたアクションが映画にメリハリを与えている。気楽に楽しめる娯楽刑事映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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