岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品柳ケ瀬ブルース B! ニュープリントで復活!幻のご当地映画ついにロイヤル劇場のスクリーンに 2024年07月11日 柳ケ瀬ブルース ©東映 【出演】梅宮辰夫、野川由美子、大原麗子、美川憲一 ほか 【監督】村山新治 懐かしい若き俳優たちと街の活気 映画『柳ヶ瀬ブルース』は1967(昭和42)年に公開された東映作品で、梅宮辰夫を主役にした "夜の歌謡シリーズ" の第1作である。 当時、東映では、梅宮辰夫を着流し任侠路線のエースに育てる方針から、B面番組ではあったものの、彼を主役にした任侠もののシリーズが製作された。その先鞭が1965年から始まった "夜の青春シリーズ" だった。しかし、このシリーズは表番組の任侠ものがカラーだったのに対して、白黒で撮影され、内容の不気味さが際立つ形となり、評判はいまひとつだった。 そこで企画されたのがヒット歌謡曲を題名に被せたこのシリーズで、その1作目として白羽の矢がたったのが、前年の66年にリリースされ120万枚を超えるヒットとなった、美川憲一歌唱による『柳ヶ瀬ブルース」だった。 奇しくもデビュー以来、もうひとつだった美川がムード歌謡路線に方向転換した曲でもあった。 主人公の福本次郎は、所謂、"パブ" のパーテンダーとして登場する。イギリス発祥の酒場の形であるパブは、日本においては形を変えて、カウンター席を主に、大衆路線で広まった。定義は曖昧だが、その後は、カラオケパブとかショーパブとか、フィリピンパブなどにも使われる。シーンに登場する昭和の時代の酒場のイメージは、懐かしくもあり、今では新鮮にすら見える。 次郎は同僚のバーテンからは兄貴と呼ばれる存在。接客術も巧みで、手練手管のすけこまし。そこに訳ありの女・みどり(野川由美子)が現れて、話は東京から次郎の故郷岐阜へと、行ったり来たりする展開になる。 脚本は、先日ロイヤル劇場でも上映され『女の市場』の成澤昌茂が担当している。成澤は戦後、松竹を退社して師匠である溝口健二に従い、その後は会社間を渡り歩く器用な書き手に転身した。 不良(今ならハングレ)に本物ヤクザが絡む、コンプラに抵触する危ない進行はパターン化されていてちょっと軽い。 岐阜弁がほぼ名古屋弁だったり、新幹線岐阜羽島駅で有名な有力政治家を揶揄したり、地元にへつらうことはなく。金華山や岐阜城、川原町の街並み、鵜飼などで観光アピールはしっかりしている。もうひとつの見どころは、女優たちのお色気。そして、あの頃、確かにあった柳ヶ瀬の繁華街としての活気の再見だろう。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (6)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年08月01日 / アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家 新表現主義の代表的アーティストの実像に迫るドキュメンタリー 2024年08月01日 / アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家 天才が天才をリスペクトする人間ドキュメンタリー 2024年08月01日 / ふたごのユーとミー 忘れられない夏 キュートで青いレモンの味がする青春恋愛映画だ more 2023年04月12日 / 丸の内TOEI(東京都) 銀座にある東映のメイン劇場で映画の醍醐味を満喫。 2022年04月27日 / 天文館シネマパラダイス(鹿児島県) かつての映画街の熱気を再び…商店街が立ち上がった。 2021年10月13日 / 【思い出の映画館】千日前セントラル(大阪府) 戦後の活気ある商店街でアメリカ映画を送り続けた。 more
懐かしい若き俳優たちと街の活気
映画『柳ヶ瀬ブルース』は1967(昭和42)年に公開された東映作品で、梅宮辰夫を主役にした "夜の歌謡シリーズ" の第1作である。
当時、東映では、梅宮辰夫を着流し任侠路線のエースに育てる方針から、B面番組ではあったものの、彼を主役にした任侠もののシリーズが製作された。その先鞭が1965年から始まった "夜の青春シリーズ" だった。しかし、このシリーズは表番組の任侠ものがカラーだったのに対して、白黒で撮影され、内容の不気味さが際立つ形となり、評判はいまひとつだった。
そこで企画されたのがヒット歌謡曲を題名に被せたこのシリーズで、その1作目として白羽の矢がたったのが、前年の66年にリリースされ120万枚を超えるヒットとなった、美川憲一歌唱による『柳ヶ瀬ブルース」だった。
奇しくもデビュー以来、もうひとつだった美川がムード歌謡路線に方向転換した曲でもあった。
主人公の福本次郎は、所謂、"パブ" のパーテンダーとして登場する。イギリス発祥の酒場の形であるパブは、日本においては形を変えて、カウンター席を主に、大衆路線で広まった。定義は曖昧だが、その後は、カラオケパブとかショーパブとか、フィリピンパブなどにも使われる。シーンに登場する昭和の時代の酒場のイメージは、懐かしくもあり、今では新鮮にすら見える。
次郎は同僚のバーテンからは兄貴と呼ばれる存在。接客術も巧みで、手練手管のすけこまし。そこに訳ありの女・みどり(野川由美子)が現れて、話は東京から次郎の故郷岐阜へと、行ったり来たりする展開になる。
脚本は、先日ロイヤル劇場でも上映され『女の市場』の成澤昌茂が担当している。成澤は戦後、松竹を退社して師匠である溝口健二に従い、その後は会社間を渡り歩く器用な書き手に転身した。
不良(今ならハングレ)に本物ヤクザが絡む、コンプラに抵触する危ない進行はパターン化されていてちょっと軽い。
岐阜弁がほぼ名古屋弁だったり、新幹線岐阜羽島駅で有名な有力政治家を揶揄したり、地元にへつらうことはなく。金華山や岐阜城、川原町の街並み、鵜飼などで観光アピールはしっかりしている。もうひとつの見どころは、女優たちのお色気。そして、あの頃、確かにあった柳ヶ瀬の繁華街としての活気の再見だろう。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。