岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品12日の殺人 B! 未解決殺人事件に挑んだ刑事たちの物語 2024年05月01日 12日の殺人 © 2022 - Haut et Court - Versus Production - Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma 【出演】バスティアン・ブイヨン、ブーリ・ランネール、テオ・チョルビ、ヨハン・ディオネ、ティヴー・エヴェラー、ポーリーヌ・セリエ、ルーラ・コットン・フラピエ 【監督】ドミニク・モル 予め提示されたいるのに何故か事件解決の顛末に苛立つ フランスで発生した殺人事件では、その20%が未解決であるーこれはそのひとつのケース。 2016年10月12日深夜、友だちの家で楽しい時間を過ごした大学生のクララは、帰宅の途につく。自撮りの動画メールを発信中、突然、何者かに液体をかけられる。炎につつまれるクララ。 警察では、班長の送別会が行われている。代わって班長となるヨアンの新任の祝いを兼ねた集まりで、班にいる刑事たちの顔ぶれや、立ち位置がさらりとと紹介される。 焼死体となって発見されたクララ。殺人事件の捜査はヨアンの班が担当することになる。 先ず、クララが事件に巻き込まれる直前まで滞在していた家の親友のナニーへの聞き取り。そして、クララの周辺情報、交友関係が明らかになり、ひとりひとりの事情聴取に臨む刑事たちの地道な捜査が始まる。 ここで浮き彫りになるのは、被害者クララへの刑事たちの心象の変化である。残虐な行為で殺されたことへの同情は、激しい犯人への憎悪であったのだが…。 監督のドミニク ・モルは、父がドイツ人、母はフランス人で、ドイツで幼年期を過ごした後、ニューヨーク市立大学で学び、フランスで映画界に入り、助監督を経て監督デビューを果たした国際人で、第2作にあたる『ハリー、見知らぬ友人』(2000年/日本公開2001年)で、第26回のセザール賞の監督賞を受賞して順調なキャリアをスタートさせた。 この映画は謎の友人ハリーに巻き込まれる周辺を描くブラックユーモア溢れる内容で、巧みな展開で物語に引き摺り込むという演出手腕は、本作にも見える持ち味でもある。 次第に明らかになるのは、クララの男性関係で、刑事たちの意識にも変化を与えることになる。 物語は刑事目線からズレることなく、混迷する事態を見せる。宙に浮く捜査、抜け出せない事件の沼。鮮やかな謎解き刑事ものからは遠い、あくまで未解決事件の周辺にある人間模様を描く、クセのある映画なのでご注意あれ。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (7)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年09月26日 / どら平太 日本映画黄金時代を彷彿とさせる盛りだくさんの時代劇 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 助けを求める人はもはや敵ではなく、ただの人間だ 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 海の男たちが下す決断を描くヒューマンドラマ more 2022年09月14日 / 松本シネマライツ(長野県) 日常の中に映画館で映画を観る習慣が甦った街。 2023年09月27日 / 小山シネマロブレ(栃木県) まるで美術館のようなロビーがある駅前のシネコン 2023年06月28日 / 神戸映画資料館(兵庫県) 長年眠っていた貴重なフィルム作品を発掘・上映する。 more
予め提示されたいるのに何故か事件解決の顛末に苛立つ
フランスで発生した殺人事件では、その20%が未解決であるーこれはそのひとつのケース。
2016年10月12日深夜、友だちの家で楽しい時間を過ごした大学生のクララは、帰宅の途につく。自撮りの動画メールを発信中、突然、何者かに液体をかけられる。炎につつまれるクララ。
警察では、班長の送別会が行われている。代わって班長となるヨアンの新任の祝いを兼ねた集まりで、班にいる刑事たちの顔ぶれや、立ち位置がさらりとと紹介される。
焼死体となって発見されたクララ。殺人事件の捜査はヨアンの班が担当することになる。
先ず、クララが事件に巻き込まれる直前まで滞在していた家の親友のナニーへの聞き取り。そして、クララの周辺情報、交友関係が明らかになり、ひとりひとりの事情聴取に臨む刑事たちの地道な捜査が始まる。
ここで浮き彫りになるのは、被害者クララへの刑事たちの心象の変化である。残虐な行為で殺されたことへの同情は、激しい犯人への憎悪であったのだが…。
監督のドミニク ・モルは、父がドイツ人、母はフランス人で、ドイツで幼年期を過ごした後、ニューヨーク市立大学で学び、フランスで映画界に入り、助監督を経て監督デビューを果たした国際人で、第2作にあたる『ハリー、見知らぬ友人』(2000年/日本公開2001年)で、第26回のセザール賞の監督賞を受賞して順調なキャリアをスタートさせた。
この映画は謎の友人ハリーに巻き込まれる周辺を描くブラックユーモア溢れる内容で、巧みな展開で物語に引き摺り込むという演出手腕は、本作にも見える持ち味でもある。
次第に明らかになるのは、クララの男性関係で、刑事たちの意識にも変化を与えることになる。
物語は刑事目線からズレることなく、混迷する事態を見せる。宙に浮く捜査、抜け出せない事件の沼。鮮やかな謎解き刑事ものからは遠い、あくまで未解決事件の周辺にある人間模様を描く、クセのある映画なのでご注意あれ。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。