岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品コヴェナント/約束の救出 B! 危険を顧みない友情とスリリングな逃亡劇の戦争娯楽映画 2024年04月12日 コヴェナント/約束の救出 © 2022 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED 【出演】ジェイク・ギレンホール、ダール・サリム、アントニー・スター、アレクサンダー・ルドウィグ、ボビー・スコフィールド、エミリー・ビーチャム、ジョニー・リー・ミラー 【監督・脚本・製作】ガイ・リッチー 通訳は戦場において、私たちの目であり、耳だ 2001年から続いていたアフガニスタンにおけるアメリカの軍事作戦は、2021年8月31日で終了し駐留軍が完全撤退した。 その頃のネットニュースの拾い読みだが、元通訳らへの特別移民ビザ発給は2009年に始まり、14年末以降では2万6500人に発給されたが、1万8000人が発給を待っているとのこと。申請には米兵からの推薦書など膨大な資料を揃える必要があり、申請から判断まで平均4~5年かかっているらしい。「通訳は戦場において、武器よりも重要だ。彼らは私たちの目であり、耳だ」として支援団体も設立されている。 『コヴェナント/約束の救出』は、軽快な娯楽映画の多いガイ・リッチー監督の初の戦争映画であり、危険を顧みない友情とスリリングな逃亡劇を重ね合わた、極めて質の高い戦争娯楽映画である。 物語は、アフガン人通訳アーメッド(ダール・サリム)が、瀕死の重傷を負った米軍のジョン・キンリー曹長(ジェイク・ギレンホール)を命がけで助ける前半部と、ビザが発給されずタリバンの報復を恐れて行方不明となったアーメッドを、ジョン・キンリーが決死の覚悟で捜索し救出する後半部に分かれている。 いつもの独特のユーモアと絶妙なストーリー構成、アップテンポでスピーディーな演出の片鱗はみえておりガイ・リッチーの映画に間違いないが、派手さは控えめで過酷な現実を描くことに重点は移っている。 文化も価値観も違う2人が、相手の命を救うために命がけで行動する。100Kmの悪路を、ジョン・キンリーを背負ってアーメッドが歩き続けるのは、ビザが欲しいためだけでなく人助けの本質であるし、ジョン・キンリーがアーメッドを助けるのは、ビザを発給する"コヴェナント(約束)"を果たすためだけでなく、アーメッドに対するリスペクトでもあるのだ。 そもそもアメリカがアフガンに介入したことに対する批判的視点は無いが、そこまで求めまい。 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 100% 観たい! (9)検討する (0) 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 2024年04月24日 / ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター 4Kで甦る 憎悪の泥に塗れた官能的な愛の物語 2024年04月24日 / ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター ジェーン・カンピオン監督の最高傑作、完璧な作品 2024年04月24日 / RED SHOES/レッド・シューズ オーストラリア発バレエ舞台の成長物語 more 2020年09月02日 / 長野相生座・ロキシー(長野県) 善光寺の門前町にある明治時代から続く老舗映画館 2020年03月18日 / 布施ラインシネマ(大阪府) 大阪の下町で地元の人たちに愛されてきた映画館 2020年09月30日 / 新宿武蔵野館(東京都) 創設百周年を迎えた新宿の伝説的映画館 more
通訳は戦場において、私たちの目であり、耳だ
2001年から続いていたアフガニスタンにおけるアメリカの軍事作戦は、2021年8月31日で終了し駐留軍が完全撤退した。
その頃のネットニュースの拾い読みだが、元通訳らへの特別移民ビザ発給は2009年に始まり、14年末以降では2万6500人に発給されたが、1万8000人が発給を待っているとのこと。申請には米兵からの推薦書など膨大な資料を揃える必要があり、申請から判断まで平均4~5年かかっているらしい。「通訳は戦場において、武器よりも重要だ。彼らは私たちの目であり、耳だ」として支援団体も設立されている。
『コヴェナント/約束の救出』は、軽快な娯楽映画の多いガイ・リッチー監督の初の戦争映画であり、危険を顧みない友情とスリリングな逃亡劇を重ね合わた、極めて質の高い戦争娯楽映画である。
物語は、アフガン人通訳アーメッド(ダール・サリム)が、瀕死の重傷を負った米軍のジョン・キンリー曹長(ジェイク・ギレンホール)を命がけで助ける前半部と、ビザが発給されずタリバンの報復を恐れて行方不明となったアーメッドを、ジョン・キンリーが決死の覚悟で捜索し救出する後半部に分かれている。
いつもの独特のユーモアと絶妙なストーリー構成、アップテンポでスピーディーな演出の片鱗はみえておりガイ・リッチーの映画に間違いないが、派手さは控えめで過酷な現実を描くことに重点は移っている。
文化も価値観も違う2人が、相手の命を救うために命がけで行動する。100Kmの悪路を、ジョン・キンリーを背負ってアーメッドが歩き続けるのは、ビザが欲しいためだけでなく人助けの本質であるし、ジョン・キンリーがアーメッドを助けるのは、ビザを発給する"コヴェナント(約束)"を果たすためだけでなく、アーメッドに対するリスペクトでもあるのだ。
そもそもアメリカがアフガンに介入したことに対する批判的視点は無いが、そこまで求めまい。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。